欧州リコール発生件数 上位20ブランド
自動車には膨大な開発予算をかけられるにもかかわらず、何千人もの消費者の手に渡ってから欠陥が明らかになることも少なくない。今回は2023年に欧州でリコールの多かった20のブランドを紹介する。
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欧州連合(EU)には「セーフティゲート(Safety Gate)」という機関があり、EU圏内で販売されるすべての商品について安全上のリスクを監視している。もちろん自動車も対象で、リコールに発展するとほとんどの場合、消費者ではなくメーカーの費用負担で対応が行われる。
本稿では欧州のリコール照合サイト「Car-Recalls.eu」のデータを参考にしている。リコールの少ないブランドから昇順で紹介していくが、当然ながら販売車種の多いブランドほど件数も多くなるので、その点を考慮してご覧いただきたい。リコールの件数が、車種やブランドの品質に必ずしも直結するものではないということだ。
また、リコールは広範囲に及ぶことがあるため、対象車種をすべて挙げているわけではない。そして、リコール制度自体も国や地域によって大きく異なるため、万国共通の普遍的なものではない。
20:ジャガー – 2車種で5件
EVのIペイス(写真)ではバッテリーの劣化により熱過負荷となり、出火の危険性があるなどの理由で3件のリコールが発生した。もう1台はFペイスで、パワートレイン・ソフトウェア・モジュールと冷却水ポンプに関するリコールがあった。
19: 日産 – 4車種で5件
アリア(写真)では駆動用モーターが故障してショートする可能性があり、ジュークではブレーキとアクセルを同時に踏むとハイブリッドシステムがリセットされ、エンストを引き起こす可能性があった。マイクラにはシートベルトのアンカーに関する問題があり、リーフにはクルーズコントロール解除後の意図しない加速に関する問題があった。
18:ポルシェ – 4車種で5件
パナメーラには後席シートベルト・ブラケットの誤装着とエアコンポンプの劣化の可能性で2件、911にはサイドエアバッグの誤展開に関する問題があった。パナメーラと同様、マカン(写真)にも後席シートベルト・ブラケットに関するリコールが発生。スーパーカーのカレラGTはシャシー部品の劣化問題でリコールとなった。
17:ボルボ – 10車種で5件
S60(2019~2023年)は、フロントエアバッグ、オイルライン、ブレーキ制御ソフトウェアに関する3件のリコールがあった。XC90(2015~2023年)、C40(2023年)、V60クロスカントリー(2018~2022年)、S90、V90、V90クロスカントリー、XC40、XC60(写真)にも同じブレーキの問題でリコールが発生した。また、XC90は後席シートベルトバックルとステアリング関連のリコールがあった。
16:ジープ – 8車種で6件
グランドチェロキー(2021~2023年)は、2列目シート、リアコイルスプリング、ステアリングコラムの不具合でリコール。また、コンパス(2022~2023年)、チェロキー(2015~2016年)、グラディエーター(2021年)、グランドワゴニア(2021~2022年)、レネゲード、ワゴニア、ラングラーにはそれぞれ1件ずつ、異なる理由でリコールがあった。
15:アウディ – 13車種で6件
アウディの多くの車種でエアバッグ関連のリコールが発生した。対象車種はA4(2004~2011年)、A5(2008~2012年)、A6(2004~2011年)、Q4 eトロン(2023年)、Q5(2008~2012年)、S4(2004~2011年)、S6(2004~2011年)、R8(2014~2017年)、RS6(2004~2011年)、TT(2014~2017年)。
また、溶接継ぎ目の問題でA4(2023年、写真)、A5(2023年)、Q3(2023年)、Q7(2023年)、Q8(2023年)にリコールが行われた。
14:ヒョンデ – 7車種で7件
i40(2018~2020年)、コナ(2018~2020年)にオイルシステム関連のリコール、i30(2018~2020年)、ツーソン(2018~2020年)に燃料ポンプのリコール、サンタフェ(2020~2022年、写真)に燃料タンクとシートベルトのリコールがあった。
13:フィアット – 6車種で8件
500(2023年)、500X(2022~2023年、写真)、500e(2020~2021年)、ドブロ(2022~2023年)、パンダ(2023年)、スクード(2021-2022年)、ティーポ(2022-2023年)、ウリッセ(2021~2022年)に影響するさまざまなリコールがあった。
12:ルノー – 6車種で9件
以下の車種でさまざまな問題によるリコールがあった。キャプチャーLPG(2023年)、クリオLPG(2023年)、クリオ(2022~2023年、写真)、カングー(2023年)、コレオス(2022~2023年)、メガーヌ・セダン(2022-2023年)、メガーヌ(2023年)、ゾエ(2022年)。
11:キア – 11車種で9件
オーバーヒートを引き起こす可能性のある燃料またはオイル漏れに対処するための大規模なリコールがあり、複数の車種に影響を与えた。セラート(2011~2018年)、フォルテ(2011~2018年)、オプティマ(2011~2018年)、ソレント(2011~2018年)、スポーテージ(2011~2018年)。
また、制動距離が長くなる可能性のあるブレーキユニットの不具合によるリコールもあり、シード(2018~2020年)、プロシード(2018~2020年)、スポーテージ(2018~2020年)、クロスシード(2018~2020年、写真)に影響があった。
10:ランドローバー – 5車種で11件
ディフェンダー(2022~2023年)、ディスカバリー(2022~2023年)、レンジローバー(2022~2023年)、レンジローバー・スポーツ(2022~2023年)で出火の危険性があるオイル漏れの問題に対するリコールがあった。
ヴェラール(2021~2023年、写真)、ディフェンダー(2021~2023年)、レンジローバー(2018~2022年)、レンジローバー・スポーツ(2018~2022年)では冷却水ポンプのリコールが行われた。
9:フォルクスワーゲン – 12車種で11件
フォルクスワーゲンの複数の旧型車種で、エアバッグ推進剤の不具合をめぐる大規模なリコールが発生した。対象車種はクラフター(2008~2014年、2005~2011年)、イオス(2008~2014年)、フォックス(2008~2014年)、ゴルフ・カブリオレ(2008~2014年、写真)、ゴルフ(2008~2014年)、パサート(2008~2014年、2007~2010年)、ポロ(2008~2014年)、シャラン(2008~2014)、T5(2007~2010年)。
8:DSオートモビル – 4車種で14件
2023年にはDS7クロスバック(2019~2023、写真)だけで9件のリコールが発生した。ソフトウェアや四輪駆動システムなど、さまざまな問題が理由だった。
DS 4(2022~2023年)には4件、DS3クロスバック(2017~2023年)には5件のリコールがあった。
7:フォード – 9車種で16件
オイル漏れによりエンジン火災を引き起こす可能性があるとして大規模なリコールがあり、フィエスタ(2019~2022年)、フォーカス(2019~2022年)、クーガ(2019~2022年、写真)、プーマ(2019~2022年)、エクスペディション(2020~2021年)、F-150(2022~2023年)、マスタング(2020年)、レンジャー(2022~2023年)、トルネオ(2022年)など複数の車種に影響を与えた。
6:トヨタ – 16車種で16件
ソフトウェア・アップデートに不具合があり、複数車種がリコールとなった。対象はアイゴ(2022~2023年)、bZ4X(2021~2023年)、C-HR(2022~2023年)、カムリ(2023年)、カローラクロス(2022~2023年、写真)、ハイランダー(2023年)、ハイラックス(2021~2023年)、ミライ(2023年)、プリウスPHEV(2023年)、RAV4(2022~2023年)。
また、プロエースとプロエース・シティでは合計10件のリコールがあった。
5:シトロエン – 12車種で20件
排出ガスの増加につながる可能性のあるソフトウェア・エラーによる大規模なリコールがあった。対象車種はベルランゴ(2020~2022年)、Cエリーゼ(2019~2022年)、C3(2020~2022年)、C4(2020~2022年)、C4ピカソ(2020~2022年)、C5エアクロス(2019~2022年、写真)、ジャンパー(2020~2022年)、ジャンピー(2020~2022年)、スペースツアラー(2020~2022年)。
C3とC5エアクロスは、それぞれ計7件のリコールがあった。
4:オペル – 11車種で21件
シトロエンと同じソフトウェア・エラーが、兄弟ブランドであるオペルにも影響を与えた。オペルでは、アストラL(2021~2022年)、コンボ(2020~2022年)、コルサ(2021~2022年)、グランドランドX(2020~2022年、写真)、モッカ(2020~2022年)、モバノ(2021~2022年)、ヴィヴァーロ(2020~2022年)、ザフィーラ(2020~2022年)が対象となった。
3:BMW – 20車種で21件
BMWの多数の車種でエアバッグの不具合に関する大規模なリコールが発生した。対象車種は1シリーズ(2003~2015年)、1シリーズ(2012~2014年)、2シリーズ(2022~2023年)、3シリーズ(2003~2015年)、4シリーズ(2014年)、5シリーズ(2012~2014年)、6シリーズ(2012~2014年)、iX(2021~2023年)、iX1(2022~2023年)、 M2(2014年)、M3(2012~2014年)、M4(2014年)、X1(2009~2015年、2012~2014年、2020~2023年)、X3(2003~2015年)、X4(2014年)、X5(2023年)、X6(2006~2014年、2012~2014年、2023年)、X7(2023年、写真)、XM(2023年)。
2:プジョー – 13車種で27件
シトロエン、オペルと同様、兄弟ブランドのプジョーもソフトウェア・エラーにより以下の車種でリコールがあった。208(2020~2022年)、301(2020~2022年)、308(2019~2021年、写真)、2008(2020~2022年)、3008(2020~2022年)、5008(2020~2022年)、ボクサー(2020~2022年)、エキスパート(2020~2022年)、パートナー(2020~2022年)、リフター(2020~2022年)、トラベラー(2020~2022年)。
1:メルセデス・ベンツ:20車種で38件
メルセデスAMG GT(2022~2023年)、CLS(2022~2023年)、Eクラス(2022~2023年、写真)においてドア開閉事故抑制機能のリコールがあった。Cクラス(2000~2010年)、CLC(2000~2010年)、CLK(2000~2010年)、CLS(2004~2010年)、Eクラス(2000~2010年)では接着剤の不適切な使用によるリコール。EQSには4件のリコールがあった。
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みんなのコメント
マスコミとして社会的責任を果たしているとは到底思えない。
母数が多けりゃそりゃリコール割合だって増えるだろうよ。