【絶滅寸前】買えなくなるその前に。いま乗っておきたオススメ国産スポーツカー5選
掲載 carview! 文:工藤 貴宏 95
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日産「フェアレディZ」は発売後の早いタイミングで生産キャパシティを超えそうになって受注停止。ホンダ「シビックタイプR」は、受注開始後、半年以上は持ちこたえていたものの、結局想定を超えるオーダーを受けて受注停止に……。
いま、スポーツカーの人気が絶好調だ。もちろんフェアレディZやシビックタイプRが受注をストップしたのは、単に人気が集中しただけではなく、半導体不足により生産台数が絞られていることも大きく影響している。
しかし、少し前までは「国産のスポーツカーが手に入らない」なんていう状態になるなんて、誰も想像していなかったのではないだろうか。まさか、こんな日が来るなんて。
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そもそも、昨今のスポーツカー人気には理由がある。具体的に言えば“エンジンだけで動くスポーツカー”の終焉が近づいているからだ。
たとえばスバルを代表するスポーツモデルの「WRX STI」は、開発を進めていたと言われている新型がお蔵入りしたが、それも燃費が関わっているという説が濃厚。いま、欧州ではそれぞれのメーカーごとに販売する全車種の平均燃費が算出され、それが基準を満たしていないと多大な罰金を払うことになる。
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燃費の悪いクルマはその金額が販売車種1台当たり数百万円になるケースもあり、販売価格に上乗せされるのだから恐ろしい限りだ。日本は罰金を払うほどまでは厳しくないものの、基準を満たさないと当局からの風当たりが強いという。
燃費のいいハイブリッドカーを売りまくっているから、V8エンジンを搭載したレクサス「IS500」など、燃費の悪いハイパフォーマンスモデルを出せる余裕があるトヨタと違って、フルハイブリッドを持たず平均燃費が厳しいスバルはカツカツの状態。そのため燃費の悪いWRX STIの新型を断念せざるを得なかったのだ。
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そんな燃費基準(実質的には燃費規制)は、これから緩くなるわけなどなく、ますます厳しくなっていくばかり。すなわち、燃費の悪いクルマはどんどん締め付けられていく。
だからこの先、自動車メーカーはスポーツカーにおいても、モーターを組み合わせたハイブリッドとせざるを得ないし、基本的にトランスミッションは燃費に不利(ハイブリッドの燃費の良さを活かしにくい)となるMTが消えていくだろう。
電気自動車を含めてモーター付きのクルマはこれからいつでも買える。でも、モーターのない純粋なエンジン車はタイムリミットが迫っているのでいま買っておくべき。それが筆者の考えだ。
さて、長い前置きとなったけれど、この記事のテーマは「そんな時代になる前に買っておきたい国産スポーツカー5選」。そんな時代とは「スポーツカーにも当然のようにモーターが組み込まれる時代」のことで、おそらく残り時間は10年もないだろう。

「次のフルモデルチェンジではフルハイブリッドになる」なんて噂もあるトヨタ「GR86」。もし仮に次の世代がハイブリッドになったとしても、きっと運転が楽しいクルマに仕上がるだろう。
けれど、スポーツカーにとって重要なポイントである車両重量が増えるのは避けようがない。そうなる前に現行型を買っておきたいところだ(2023年3月現在オーダー停止中のようだが、それは改良モデルが発売される準備と思われる)。
兄弟車のスバル「BRZ」も同じ状況にある。GR86もBRZも、ピュアエンジンで楽しめるのは今の世代までだろう。買うなら今だ!
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「ND型」と呼ばれる現行モデルのマツダ「ロードスター」は、日本においても初代を凌ぐほど売れ続ける大ヒットモデルとなったが、2022年は発売以来最大の販売台数となったのだから驚く限りだ。
スポーツカーは発売開始直後がもっとも売れ、その後は低空飛行になるのが一般的。しかし現行型のロードスターはそれが当てはまらない稀有なモデルと言える。
ちなみにその理由に関しては、「ロードスターの原点に立ち返ったクルマの仕上がりがいい」というのがベースにあるうえで「いま買っておかないと、モーター無しのエンジンやMTのロードスターが買えなくなるかもしれない」というスポーツカー好きの焦りが背景にあるようだ。また、ほかのスポーツカーに比べると納期が短いという追い風もある。
聞くところによると、ロードスターの今後は「現行型を引っ張れるだけ引っ張って(状況が許される限り長く作り続けて)、次のフルモデルチェンジではモーター付きのパワートレインを組み込む」らしい。
どうやらマイルドハイブリッドで考えているようだが、いずれにせよピュアエンジンのロードスターを新車で買えるのは今の世代が最後になりそうだ。
個人的には、ピュアエンジン時代の最後を飾るND型ロードスターの特別なモデルとして、海外向けには展開している「ソフトトップの2.0Lエンジンモデル」が国内にも追加されることを期待したい。
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「トヨタは変わったな。こんなクルマを発売する日が来るなんて」
「ヤリス」のエボモデルである「GRヤリス」が発売されたとき、素直にそう思った。名前こそヤリスだけどボディは普通のヤリスとは異なる専用設計で3ドア。ルーフをカーボンとするなど一般的な市販車とは全く違い、手組のエンジンも含めて専用の工場で特別な方法で作られている。
そんなGRヤリスも、いま買うべきスポーツカーの1台だ。現時点では一時的に受注を止めているけれど、生産が回復すれば再びオーダーできるようになるはず。キレッキレの走りは、そのストーリー性も含めてトヨタの歴史に残る1台となること間違いない。
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抽選によりわずか500台+モリゾウエディションの70台を受注したところでオーダーを止めている「GRカローラ」。トヨタも「生産状況が回復したら再びオーダーを受け付ける」と言っているので、これからも手に入れるチャンスは十分にある。
GRカローラは、エンジンこそ水素燃料ではないものの、それ以外の仕様に関してはトヨタが「スーパー耐久」と呼ばれる国内レースで走らせている「カローラスポーツ」のノウハウが多く取り入れられている。いわばレースから生まれたクルマであり、レース直系のクルマを所有できる喜びも満たしてくれる。買えるうちに買わないと、きっと後悔するだろう。
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今回の記事は国産スポーツカーを軸としたもの。だからブランドが「GR」でデザインや商品企画と走りの味付けをトヨタがまとめたとはいえ、開発拠点や製造拠点を海外とした輸入車なので「番外編」とはなる。
とは言え、「GRスープラ」はやはり魅力的なスポーツカーだ。ハイパワーのFRという古典的な造りは、ある意味スポーツカーの伝統美と言えるもの。
モーターを組み合わせないピュアエンジンの高性能スポーツカーは、トヨタにとってもこれが最後だろう。間違いなく歴史に残るスポーツカーとなるはずだ。そういう意味で、いま買っておきたい1台である。
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今回のリストアップは、再開の見込みなく受注を止めているフェアレディZやシビックタイプRは除外している。そんな前提条件があるとはいえ、驚くのはリストアップした半分以上をトヨタ車が占めていることではないだろうか。
かつて「出来はいいけど面白みがない」なんて言われていたトヨタだが、気が付けばエキサイティングなスポーツカーを多く揃えるメーカーになっているのだった。
加えて、ハイブリッドモデルを多く販売していることから、現時点ではまだまだメーカー全体の平均燃費に余裕がるので、燃費を気にしないスポーツカーを用意できる。それがトヨタの凄さなのである。
写真:トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、マツダ、SUBARU
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