ある意味「奇跡のようなクルマ」。スイフトスポーツ検討者に太鼓判を押す理由
掲載 carview! 文:伊達軍曹/写真:スズキ 251
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目次
スズキ「スイフトスポーツ」は、スズキの世界戦略車であるBセグメントのハッチバック「スイフト」をベースとするスポーツモデル。歴代のスイフトスポーツはどれも濃い口の自動車ファンから高く評価されてきましたが、2017年9月に発売された4代目(スズキは“3代目”と言っていますが)の現行型は、各方面から特に高い評価を得ています。
現行型スイフトスポーツの開発コンセプトは「Ultimate Driving Excitement」。無理やり和訳するなら「究極の運転する歓び、そして興奮」とでもなるでしょうか。この訳が的確かどうかはさておき、たしかに現行型スイフトスポーツは“運転する歓び”に満ちすぎるほど満ちている車です。
車台は、軽量でありながら高剛性なスズキの新世代プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」をベースに、先代の約3倍となる量の高張力鋼板を使用し、スポット溶接打点を追加するなどして徹底的に補強。しかしエンジンや内外装などの細部に至るまでの軽量化を実施。その結果として車両重量は6MT車で970kg、6速AT車でも990kgと、現代のハイパフォーマンスモデルとしては驚異的な数値に収まっています。
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そんな軽量・高剛性な骨格の中に収まるパワーユニットは、1.4L直列4気筒直噴ターボの「K14C型ブースタージェット」。これはスズキの「エスクード」1.4Lターボに積まれていたエンジンに専用チューニングを施したもので、140psの最高出力と、2.3L級自然吸気エンジン並みと言える230Nmのビッグなトルクを2500~3500rpmのレンジで発生します。
そのようなエンジンが、重量1tを切る車体に収まっているわけですから、その強烈な走りは、数値からだけでもある程度イメージしていただけることでしょう。
ボディサイズは全長3890mm×全幅1735mm×全高1500mmで、駆動方式はいわゆるFF。トランスミッションはクロスレシオの6MTを基本としつつ、6速ATもラインナップ。先代までのAT版スイフトスポーツはCVT(無段変速)を採用していましたが、現行型のATはトルクコンバーターを使った6速のパドルシフト付きステップATに改められています。
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現行型スズキ スイフトスポーツの走行フィールは――駆動方式はFFとRRで真逆なのですが――「小さなポルシェ911」と表するのが適切であると、個人的には思います。
車台とボディはまるで戦車か金庫のように(?)強靭ですが、足回りが硬すぎるということは決してないため、山坂道をかっ飛ぶだけでなく「普段のお買い物」などの相棒としても十分使えるという、スポーツ性と日常性の見事な融合。素人であっても、狙ったラインを1mmすら外さずに(?)トレースできるコーナリング性能。
そしてイタリア車のエンジンのようにドラマチック…ではないのですが、どの回転域からでもぶ厚いトルクが即座に立ち上がり、約6000rpmのレブリミットまできれいに吹け上がっていく様――等々は、まさに「小さな911」と言いたくなるものなのです。そう言えば、現行型スイフトスポーツ6MT車の4.22kg/Nmというトルクウェイトレシオは、空冷エンジンを搭載していた964型および993型ポルシェ911カレラの数値によく似ています。
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超スポーティモデルであるスイフトスポーツですが、現行型は運転支援システムも充実していています。当初から「セーフティパッケージ装着車」には、単眼カメラとレーザーレーダーによる衝突被害軽減ブレーキシステムや、アダプティブクルーズコントロール(ACC)、車線逸脱抑制機能などで構成されたシステムを搭載。
そして2020年5月に行われた一部仕様変更では、後退時ブレーキサポート(※1)と後方誤発進抑制機能(※1)、リアパーキングセンサーのほか、全車速追従機能付きアダプティブクルーズコントロール(※1)と標識認識機能に加え、隣接車線の後方から接近する車両を検知するブラインドスポットモニター(車線変更サポート付き)や、駐車場などで後方左右から接近する車両を検知するリアクロストラフィックアラートも全車に標準装備されました。
※1 6MT車を除く
※2 受注生産の「スズキ セーフティ サポート非装着車」もあり
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現在販売されているスズキ スイフトスポーツのグレードと価格は下記のとおりです。
●2WD・6MT|202万8400円
●2WD・6AT|209万9900円
見てのとおりグレード構成は非常にシンプルで、基本的にはMTとATの種別があるだけです。
それに加えて、車両を真上から見たような俯瞰映像などをモニターに映し出すことができる「全方位モニター用カメラパッケージ装着車」と、あえて運転支援システムを装着しない「スズキ セーフティ サポート非装着車(受注生産)」というのもありますので、そちらのプライスも載せておきましょう。
●全方位モニター用カメラパッケージ装着車 2WD・6MT|208万1200円
●全方位モニター用カメラパッケージ装着車 2WD・6AT|215万2700円
●スズキ セーフティ サポート非装着車2WD・6MT|188万5400円
●スズキ セーフティ サポート非装着車2WD・6AT|195万6900円
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これらのうち、今どき運転支援システムをわざわざ省略するのは(よほどの理由がない限り)論外ですので、「スズキ セーフティ サポート非装着車」はおすすめグレードにはなり得ません。
そして全方位モニター用カメラパッケージは「お好み次第」ということになるかと思います。
大柄な車の場合はあったほうが良い全方位モニターですが、スイフトスポーツぐらいの車両サイズであれば「なくてもなんとかなる」とは言えますので、ここは各自の運転スキルや信条に合わせてご検討ください。まぁ付けても5万円ちょいのプラスでしかないので、付けたほうが良いとは思いますが。
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最大の問題は「MTにするか、それともATを選ぶか?」ということでしょう。
さまざまな考え方ができる問題ですが、そもそもスイフトスポーツの購入を検討する人というのは、実用性を無視するわけではないにせよ、それ以上に「運転を楽しみたい!」ということを第一義としている場合が多いはず。
現行型スイフトスポーツの場合は、その際に「運転を楽しむならMTじゃないとダメなんじゃないか?」という強迫観念にかられる必要はまったくありません。6速AT版であっても、現行型スイスポならではの走りの良さと楽しさは十分以上に堪能できます。
エンジンが高回転域まで回っているにつれてドラマチックにパワーとトルクが盛り上がるタイプの車は、確かにMTで操作したほうが楽しいものです。しかし現行型スイフトスポーツの1.4Lターボエンジンはフラットトルク型であるため、わざわざ高回転域まで回す必要がさほどありません。というか、幹線道路などではMTを6速に入れっぱなしでも普通に走れてしまうぐらい、低回転域からのトルクがぶ厚いのです。
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そういったエンジンは、基本的にはATとの相性がよろしいため、わざわざMTを選ばないでも「スイスポならではの走り」は普通に堪能できるわけです。また現行型スイフトスポーツは6速AT車だけでなく6MT車にもアダプティブクルーズコントロール(ACC)が標準装備されますが、6MT車のそれは、さすがに全車速追従型ではありません。具体的には35km/h以下ぐらいになると、6MT車のACCの追従機能は解除されます。このあたりも、「今のスイスポはAT車も悪くないですよ!」と言いたくなる理由のひとつです。
とはいえ以上は机上の空論というか、「それでも自分は、自分でギアを選択しながら走りたいのだ!」と考えている人にはまったく響かない話でしょう。それはそれでもちろんOKですし、実は筆者も、もしも現行型スイフトスポーツを買うとしたら6MTを選ぶと思います。
しかしそれはそれとして、「でもATもぜんぜん悪くないですよ!」ということは、確実に申し上げておきたいと思った次第です。
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現行型スズキ スイフトスポーツのライバルとなる車は……あるようで、ないのかもしれません。
例えば最近発売されたトヨタ「アクア GRスポーツ」やホンダ「フィットRS」などはスポーティなコンパクトハッチという点では同一ジャンルのクルマであり、また二台ともそれなりにスポーツな味付けにチューニングされていたりします。
しかし、どちらの「ATのみ」の設定で、そのATも無段変速タイプがベース。6MTの設定があるどころか、ATもわざわざ「6段式」としているスイフトスポーツと比べると本気度の違いを感じざるを得ません。
6MTという観点では、トヨタ「ヤリス」の1.5Lガソリンエンジンに6MTを組み合わせたグレードがあります。これがなかなかスポーティな運転が楽しめるナイスな車で、なおかつ価格もスイフトスポーツに近い一台です。しかし「スイスポの、あの“戦車感”」と比べてしまうと、キャラクターはずいぶん異なるような気もします。
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戦車感という意味では同じくトヨタの「GRヤリス」がものすごいわけですが、1.6L直列3気筒ターボで272psを発生するエンジンに6MTを組み合わせた4WDグレード「GRヤリス RZ」は車両価格がスイフトスポーツの約2倍(396万円)です。そして1.5L直列3気筒、120psのエンジンにFF+CVTを組み合わせた「GRヤリス RS」は、悪い車ではなく、むしろ楽しく走れるナイスなハッチバックではあるものの、スイフトスポーツと比べてしまうとエンジンがやや物足りないですし、後席の居住性も今ひとつ。それでいて価格はスイフトスポーツより50万円ほど高額(265万円、6AT車と比較)ですので、やはり「直接のライバル」ではないように思えます。
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そして輸入車であるフォルクスワーゲン「ポロ GTI」(411万3000円)やプジョー「208」(296万4000円~)あたりも、性能の面ではスイフトスポーツの強力なライバル足り得ますが、こちらも車両価格がまったく異なります。
つまり現行型スイフトスポーツとは――あえて「たったの」という表現を使いますが、たったの200万円ちょいという車両価格で、圧倒的なまでの走行性能と普通の利便性、そして今どきの運転支援システムも手に入るという、ある意味「奇跡のような車」なのです。
それゆえスズキ スイフトスポーツをご検討中の方には、「良いご選択ですね」という以外にかけるべき言葉はありません。ぜひそのまま、ご納車まで突き進んでください。
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