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今さら聞けない「モデルチェンジ」の定義。近ごろ多い「ビッグマイチェン」とは?

「モデルチェンジ」の定義とは?

2023年は、すでに販売を開始しているトヨタ「プリウス」を皮切りに、「アルファード」など様々なモデルのフルモデルチェンジが予定されています。

フルモデルチェンジが行われたモデルは、内外装のデザインが一新するだけでなく、パワートレインや安全運転支援システム、快適装備などにも大きな変更が加わり、商品としての魅力が一気に高まります。

一方、近ごろは小規模改良を指す「マイナーチェンジ」だけでなく、「ビッグマイナーチェンジ」と称する改良も増えてきています。各言葉の違いは何なのでしょうか。

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フルモデルチェンジの定義とは?

厳密に言えば、クルマにおける「フルモデルチェンジ」とは「型式変更をともなう改良」を指します。

日本国内で販売されるすべてのクルマは、国土交通省による型式認証を受けなければなりませんが、認証を得るためには排ガス試験やブレーキ試験、品質管理審査などに合格する必要があります。

プラットフォームやパワートレインを変更すると、これらの試験や審査を新たに受け直すことになります。その結果、型式も変更されるというわけです。

実際には、フルモデルチェンジと同時に内外装のデザインも大きく変わることがほとんどですが、フルモデルチェンジの定義はあくまで「型式変更をともなう改良」であるかどうかであり、デザインが大きく変わることを意味しているわけではありません。

2023年はアルファードのほかにも、トヨタ「ランドクルーザープラド」やホンダ「N-BOX」などの人気モデルのフルモデルチェンジが控えていると言われていますが、内外装のデザインだけでなく、プラットフォームやパワートレインなど、各部が大幅に変更されると見られています。

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マイナーチェンジとは?

型式変更をともなわない改良については「マイナーチェンジ」と呼びます。マイナーチェンジでは、内外装のデザインの変更やグレード体系の整理などが行われますが、より軽微な変更については「年次改良」や「フェイスリフト」などと呼ぶこともあります。

年初の東京オートサロン2023で公開された日産「GT-R」の24年モデルは、マイナーチェンジに当たります。

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「新型車」という表現は、「型式の新しいクルマ」という意味合いが含まれることから、フルモデルチェンジしたモデルもしくは、新規に登場するモデルに限定して用いられることがほとんどですが、一部の輸入車などではマイナーチェンジしたモデルに対しても用いられており、ややあいまいな状況となっています。

モデルチェンジの頻度はモデルによってさまざまですが、フルモデルチェンジは発売からおおむね6年程度、マイナーチェンジはおおむね3年程度、そして年次改良はほぼ毎年といった周期で行われることが多いようです。

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近年多い“ビッグ”マイナーチェンジ

一方、近年では「ビッグマイナーチェンジ」という言葉を耳にする機会も増えています。インターネット上では、レクサス「IS」や三菱「デリカD:5」などに対してこの言葉が用いられているようです。

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ビッグマイナーチェンジは、型式変更をともなっていないことからフルモデルチェンジとは呼べないものの、一般的なマイナーチェンジよりも大きく改良されていることを指す時に使われることが多いようです。

ここで注意しなければならないのは、ビッグマイナーチェンジには明確な定義がないという点です。つまり、変更する部分や変更する程度は関係なく、メーカーやメディア、そしてユーザーの認識次第ということになります。

ビッグマイナーチェンジが増えてきた背景には、100年に一度とも言われる自動車業界の変化があります。

現在の自動車業界ではBEVに代表される「電動化」が大きな潮流となっています。日本をはじめとする先進各国では、今後販売される新車の一部もしくは全部を電動車とする方針を打ち出しており、自動車メーカー各社はその対応に追われています。

しかし、現在販売されているクルマの多くは非電動車であることから、自動車メーカーとしてもすべてのモデルを急に電動車へと変化させることはできません。一方で、将来的に電動化することが確実視されているなかで、既存の非電動車に対して、多額のコストを投じてフルモデルチェンジを行なうことも得策ではありません。

そこで、既存のモデルに対して、型式変更は行わないものの大掛かりな改良を施すことで商品性を向上させるという手法を取っているのです。

ビッグマイチェンは一石二鳥?

ビッグマイナーチェンジと称されるモデルの多くは、目に見える部分のほとんどが刷新されているため、その点に限ればフルモデルチェンジのモデルと同等と言っても差し支えありません。

一方、プラットフォームやパワートレインに大きな変更がなされていないことから、走行性能や燃費性能など、クルマの根幹に関わる部分が大幅に改善することはないという点に注意が必要です。また、最新の安全運転支援システムなども搭載されていない場合も多いようです。

ただ、フルモデルチェンジしたばかりのモデルは、パワートレインや足回りのチューニングが不十分であることから、ドライブフィールに違和感を覚えることもあります。その点、市場から得た多くのフィードバックを反映しているビッグマイナーチェンジと称されるモデルは、熟成した走りを持っていることがほとんどです。

実際、ビッグマイナーチェンジと称される日産「フェアレディZ」や「マツダ6」の走りは、外見の新規性とは裏腹に、熟成された質感を持っています。この点は、フルモデルチェンジが行われる直前の、いわゆる「最終モデル」に似ていると言えそうです。

>>新型フェアレディZは、ビッグマイナーチェンジで正解だった。“最後のガソリンZ”ならではの硬軟自在の走りとは?
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ビッグマイナーチェンジと称されるモデルは、一新されたデザインと熟成された走りを兼ね備えているという点では、一石二鳥の魅力的なモデルと言うことができます。その一方で、単に内外装のデザインを変更しただけで、中身はほとんど変わっていないハリボテモデルと言うこともできてしまいます。

問題なのは、前述のとおり、何をもってビッグマイナーチェンジとするかに厳密な定義がないことです。そのため、「一石二鳥の魅力的なモデル」と見るか「ハリボテモデル」と見るかは、そのユーザー次第と言えます。

このように、ビッグマイナーチェンジと称されるモデルの多くは賛否両論を巻きやすいことから、こうしたモデルを検討する際には、インターネット上などの情報を鵜呑みにすることなく、自身の判断に基づくことが重要です。

そういった意味で、ビッグマイナーチェンジと称するモデルは、やや玄人向けと言えるかもしれません。

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写真:トヨタ自動車、日産自動車、三菱自動車、マツダ

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