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長納期化のいま各メーカーの状況は? 受注停止の裏に「半導体不足」以外の要因も

新車の長納期化、今後はどうなる?

長納期化や受注停止が問題となった2022年

トヨタ「クラウンクロスオーバー」や日産「エクストレイル」など、話題の新型車が多く登場した2022年の自動車業界ですが、それと同時に、あらゆるモデルで新車の長納期化が問題となりました。

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これまでは、よほど特殊なモデルや仕様でない限りは、注文から1~2か月程度で納車されることが一般的でした。また、そもそも在庫車も多く存在していたため、ボディカラーなどを少し妥協すれば、2週間程度で新車を手に入れることも決して不可能ではありませんでした。

しかし、昨今では2週間程度で納車されるケースはほとんどなく、人気のモデルであれば、半年から1年以上の納期を覚悟しなければならないことも珍しくないという状況です。

それどころか「ランドクルーザー300」や「シビックタイプR」など、一部のモデルでは受注停止という事態も発生しています。希少な限定車などを除けば「お金を出しても買えない」というケースがこれまでに起こったことはほとんどなく、まさに異例の状況となっています。

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半導体不足が和らいできたという話も聞こえてきますが、主要なモデルの納期はどのようになっているのでしょうか?

人気車種は軒並み受注停止のトヨタ

トヨタではハイブリッド車のほとんどが、6か月以上の納期となっています。

また、2023年1月に発売した新型「プリウス」の2.0Lハイブリッドがすでに受注停止となっているほか、「アルファード」、「カローラクロス」、「ハリアー」、「RAV4」などが全グレードもしくは一部グレードで受注停止となっています。

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現在、トヨタのラインナップで6か月以内に納車される可能性が高いモデルとしては、「カローラ」、「アクア」、「グランエース」、「コペン GR SPORT」、「MIRAI」などとなっており、選択肢がかなり狭まっています。

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ガソリンモデルは納車が早くなる傾向がありますが、それでも人気モデルのほとんどが、6か月以上の納期となる見込みです。

長納期に覚悟が必要な日産・ホンダ

日産では、「エクストレイル」や「アリア」、「フェアレディZ」が受注停止となっています。一方、人気モデルの「ノート」や「オーラ」、「セレナ」は2~3か月程度で納車が可能となっており、トヨタと比べると比較的納期は早そうです。

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ホンダの場合、受注停止となっているのはシビックタイプRのみのようです。しかし、「シビック」、「ステップワゴン」、「ZR-V」と「ヴェゼル」のハイブリッド車が1年程度の納期となっており、軽自動車を含むそのほかのモデルもほとんどが6か月程度の納期を見込む必要があるようです。

アコードやHonda eであれば、1か月程度で納車される見込みです。

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比較的納車が早いマツダ・スバル・ダイハツ・スズキ・三菱

2022年に登場した話題のモデルでは、マツダ「CX-60」が6か月以上、スバル「クロストレック」が3か月程度となっているようです。

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ダイハツやスズキ、三菱は2~3ヶ月程度の納期ですが、一部の人気車種では遅れが生じたり、アクセサリーの生産遅れが発生しています。

なおスズキの「ジムニー」と「ジムニーシエラ」は、引き続き長納期が解消されていないのが現状です。

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なぜここまで納期が長いのか?

そもそも、なぜ新車の長納期化が発生しているのでしょうか?

実際にはさまざまな事情が深く重なり合っていますが、「部品不足」と「日本市場の優先度低下」という2つの要因に大別することができます。

まず「部品不足」ですが、最も代表的な例は、すでに多くの場所で指摘されている半導体不足が挙げられています。クルマはもちろん、「産業の米」とも呼ばれあらゆる電子機器にとって必要不可欠な半導体ですが、製造には高度な技術と設備を要するため、自動車用半導体を生産できる企業は世界でも数えるほどしかありません。

一方、半導体メーカーとしては、高い品質基準が求められる自動車よりも、コロナ禍で需要が増しているPCやゲーム機、家電製品向けの利幅の大きい半導体に生産能力を割り振る方がメリットが大きいため、自動車用半導体が不足してしまっています。

加えて、ウクライナ危機やコロナ禍によって世界各国の自動車部品工場の稼働が制限されたことで、クルマの生産に必要な部品も供給がとどこおり、予定通りの生産ができていないことも長納期化の一因となっていました。

ただ、こうした事情による部品不足については回復の兆しを見せていることから、各メーカーの生産状況にも改善が見られます。

トヨタ自動車の生産計画を見ると、1月の国内生産台数が20万台であるのに対し、2月は30万台を予定しています。またホンダも、1月は約8割となっていた寄居完成車工場の稼働率を2月は通常稼働にまで引き上げると発表しています。

トヨタはスマートキーの付属個数を減らしたり、ダイハツは「アイドリングストップレス仕様」をラインアップするなど、メーカーも半導体不足解消のために様々な手段を講じており、一刻も早い納期遅延の解消が望まれています。

>>ダイハツ、3万3000円安い「アイドリングストップレス」仕様を設定。部品不足に対応

日本の地位低下も要因か

一方、生産状況が改善しても、新車の納期が大きく短縮するとも言えないのが実情です。その理由が「日本市場の優先度低下」です。

これには短期的な要因と長期的な要因の2つがあります。

短期的な要因でいえば、昨今の円安の影響が挙げられます。意地悪な見方をすると、自動車メーカーの多くは輸出企業であるため円安時には海外輸出を行う方が利益を得やすくなります。その結果、工場の生産計画における海外向けモデルの割合が増え、相対的に国内向けの割合が減ることになりかねません。

ただ、より根深い問題となっているのが、少子高齢化による日本市場の縮小です。これまで、中国、アメリカに次ぐ世界3位の新車販売市場となっていた日本ですが、2022年にはインドが日本を上回ったため4位へと転落してしまいました。

そうしたなかで、日本市場専用に開発されたモデルは年々減少し、グローバルモデルを各国市場と分け合う形へと変化しつつあります。シビックが世代ごとに大型化していったのも、北米マーケットの要求が高かったからと言われています。

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「日本の企業なのだから日本市場を優先してほしい」という声も多く聞こえてきますが、シビアなビジネスの世界では、そうした浪花節が通用しないのも事実です。

ランドクルーザーは、主要マーケットである中東への輸出のために、日本への割り当て台数が少なく受注停止となったと言われています。

>>ランドクルーザー300の価格・スペック詳細はこちら

短期的な改善が見込まれる部品不足や為替の変動と異なり、この点は日本の社会構造が大きく変化しない限り、改善の見込みがないのが難点です。

目まぐるしく変化する現代では、昨日の常識が今日は通用しないということも珍しくありません。新車の納期問題については各自動車メーカーもさまざまな対策をしていますが、われわれユーザー自身のアップデートも必要なのかもしれません。

写真:トヨタ自動車、日産、マツダ、ダイハツ工業、本田技研工業、スズキ

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