フォルクスワーゲン ポロのグレード選び コスパと満足感どっちを取る!?
掲載 更新 carview! 文:伊達軍曹/写真:フォルクスワーゲン グループ ジャパン 68
掲載 更新 carview! 文:伊達軍曹/写真:フォルクスワーゲン グループ ジャパン 68
フォルクスワーゲン「ポロ」は、ハッチバックの世界的定番である「ゴルフ」の1つ下のクラスを担う存在として、1975年から長らく作り続けられているコンパクトハッチバック。兄貴分であるゴルフが代を重ねるごとにボディサイズを拡大してきたのに対し、ポロはサイズ拡大を自重して「扱いやすいサイズの手頃な小型車」としての本分を守ってきました。
2018年3月に発売された現行型、6代目のポロはさすがに3ナンバーサイズとなりましたが、それでも全長4060mm×全幅1750mm×全高1450mmという、現代の車としては「小ぶり」といえるサイズ感をキープしています。
現行型ポロの車台は「MQB」という最新世代のモジュラープラットフォームで、従来型より10mm低くなった全高とともに、水平基調のラジエターグリルやシャープなデザインのヘッドライトなどにより、より力強く、より高級感のあるビジュアルに生まれ変わっています。
またホイールベースを従来型から80mm延長して2550mmとしたことで、後部座席の居住スペースはより広くなり、全幅が拡大したこともあって、ラゲッジルーム容量も従来型比で71L増の351Lになりました。
※2022年9月30日時点の情報
スポーツモデルである「ポロGTI」を除くと、パワートレインは1L 直列3気筒ターボエンジン+7速デュアルクラッチトランスミッション(DSG)という組み合わせ。排気量はわずか1Lですが、そのパワーとトルクは1.2L直噴ターボだった従来型を上回り、最高出力95psと最大トルク175Nmとなかなかの数字をマーク。WLTCモード燃費はグレードを問わず17.1km/Lです。
このほか2019年1月には気筒休止機能付きの1.5L 直列4気筒ターボエンジンを追加し、最高出力150psのそれを「TSI R-Line」というスポーティなグレードに搭載しましたが、現在はTSI R-Lineの搭載エンジンも95psの1L 直列3気筒ターボに変更されています。
※2022年9月30日時点の情報
また前述したスポーツモデル「ポロGTI」は最高出力200psの強力な2L 直列4気筒直噴ターボエンジンと6速DSGという組み合わせですが、GTIはスポーティカー好きのためのやや特殊な存在であるため、あくまで「一般的な乗用車についての情報」を主題とする本稿では割愛させていただきます。
最新のプラットフォームである「MQB」を採用したことで現行型ポロはボディ剛性が向上し、衝突安全性評価「ユーロNCAP」では最高ランクの5つ星を獲得しましたが、いわゆる先進安全装備も当然充実しています。
※2022年9月30日時点の情報
レーンキープアシストやプリクラッシュブレーキ(いわゆる自動ブレーキ)、起こってしまった事故の被害を最小限にとどめるポストコリジョンブレーキシステムは、最廉価グレードであっても標準装備。もちろん上級グレードであれば、ほかにもさまざまな運転支援システムが装備されることになります。
2022年4月にはマイナーチェンジが行われ、フロントとリアのデザインを変更するとともに、9.2インチモニターの純正インフォテインメントシステム「Discover Pro」や、デジタルメータークラスター、タッチコントロール式エアコンディショナーパネルを採用。さらには同一車線内全車速運転支援システムの「Travel Assist」を最廉価グレード以外に設定し、LEDマトリクスヘッドライト「IQ.LIGHT」も上級グレードに設定されました。
※2022年9月30日時点の情報
このマイナーチェンジでグレード構成も刷新された最新世代ポロの、ラインナップとそれぞれのプライスは下記のとおりです。
TSI Active Basic | 257万2000円 |
---|---|
TSI Active | 282万1900円 |
TSI Style | 324万5000円 |
TSI R-Line | 329万9000円 |
要するに上から順番に「ベーシック/中間/上級/スポーティ」ということですが、それぞれのより具体的な特徴は下記のとおりとなります。
●TSI Active Basic
従来の「TSIトレンドライン」に相当する最廉価グレードで、同一車線内全車速運転支援システム「Travel Assist」などが選択不可であるのに加え、2種類あるパッケージオプションも装着できない。ホイールはアルミではなくスチール+キャップ。
●TSI Active
同一車線内全車速運転支援システム「Travel Assist」やACC(アダプティブクルーズコントロール)などがセットになった「テクノロジーパッケージ」と、SSDナビゲーション機能を含む「“Discover Pro”パッケージ」を装着できるほか、15インチのアルミホイールを標準装着。
●TSI Style
「テクノロジーパッケージ」に相当する装備が標準装着され、LEDマトリクスヘッドライトの「IQ.LIGHT」も標準装備。シートは「スポーツコンフォートシート」になり、アルミホイールの径が16インチになるなど。
●TSI R-Line
TSI Styleに採用される装備に加えて「ドライビングプロファイル機能」が標準装備となり、スポーティな専用ファブリックシートや専用レザーマルチファンクションステアリングホイール、電子制御式ディファレンシャルロックの「XDS」と専用スポーツサスペンション、17インチアルミホイールなどが標準で装備される。
これらの中から「おすすめグレード」を考える場合、スポーティな仕様の車が大好きな人ならば「TSI R-Line」で決まりでしょう。また最廉価グレードである「TSI Active Basic」は、安価なのはいいのですが、さすがに装備レベルが寂しいため、これも「あまりおすすめしない」という結論で良いかと思います。
※2022年9月30日時点の情報
問題は中間グレードの「TSI Active」と上級グレードの「TSI Style」です。
「TSI Active」もそのままでは装備がやや寂しいため、Travel AssistやACCなどで構成される「テクノロジーパック」はほぼ必須のパッケージオプションとなるでしょう。そうなると車両価格は299万7000円で、まぁちょうどいい塩梅かもしれません。
しかし、そこにカーナビ機能を含む「“Discover Pro”パッケージ」も付けると315万1900円となり、上級グレードである「TSI Style」の324万5000円にずいぶん接近します。
そうなると「いっそ、TSI Activeでは装着できないIQ. LIGHTやスタティックコーナリングライト(コーナリング時に進行方向を照らしてくれるライト)が標準装備になるTSI Styleのほうが……」と思うのが人情ですので、迷いが生じてしまいます。まぁそのTSI Styleにしても、「“Discover Pro”パッケージ」を付けると339万9000円と、ちょっとお高くなるのですが。
ここは迷うところですが、「とにかく大満足できるポロが欲しい」という人へのおすすめはTSI Style+“Discover Pro”パッケージ(339万9000円)で、「コスパ良好なポロがいい」という人へのおすすめは、TSI Active+テクノロジーパッケージ(299万7900円)というのが結論となるでしょう。後者の場合、カーナビはスマホアプリでまかなう必要があるのですが。
※2022年9月30日時点の情報
ポロのライバルとなるのは、国産車ではトヨタ ヤリスと日産 ノート オーラ、輸入車ではフランスのプジョー 208といったところでしょうか。
ヤリスとポロを比べると、「価格の手頃さ」と「燃費」に関してはヤリスの圧勝となります。ヤリスはポロよりもおおむね100万円は安い支払総額で入手することができ、WLTCモード燃費もハイブリッド車の場合は35.4~36.0km/Lと、ポロの2倍以上は走ります。
「各部の質感はポロよりずいぶん低い」「後席はけっこう狭い」という欠点はありますが、質感や居住性うんぬんよりも「活発に走れる、しかし低燃費なハッチバックを安価に手に入れたい」と考えるなら、ポロではなくヤリスのハイブリッド車を選ぶのが正解です。
※2022年9月30日時点の情報
同じ国産車であるノート オーラは、WLTCモード燃費は27.2km/L(2WD車)とヤリスより劣りますが、それでもポロよりはずいぶん低燃費で、日産が「e-POWER」と呼ぶシリーズハイブリッドシステムがもたらす動力性能も十分以上。そして内外装デザインの質感もかなり高く、それでいて乗り出し価格はポロよりもいくぶん安く抑えることができます。
「走りの質感」についてはポロのほうが上ですが、そこにさほどこだわらないのであれば(ノート オーラの走りも決して悪くはありません)、ノート オーラはポロの強力なライバルたり得ます。
※2022年9月30日時点の情報
輸入車である208は、いかにもフランス車らしい「ソフトだがしっかり粘る足回り」が本当に素晴らしく、車両価格もWLTCモード燃費もポロとおおむね同等です。
そのため、「硬質に引き締まった車より、しなやかな感触がある車のほうが好きだ」という人は、ポロではなく208を選ぶのが正解かもしれません。しかし208の後席はかなり狭いため、後ろに成人を乗せる機会が多い人には向かないという側面もあります。
そして本稿の主役であるポロは、WLTCモード燃費こそ正直大したことがありませんが、その他の部分については、ライバルたちが持っていないものすべてを持ち合わせているコンパクトカーです。
つまり各部の質感がきわめて高く、後席も十分に広く、そしてもちろん走行フィールと走行性能については間違いなく世界トップクラスである――というのが、ポロという車なのです。
「多少値は張ったとしても“良きコンパクトカー”を手に入れたい」と考える人にとっては、世界中を見渡したとしても「最適な一台」と言えますので、ポロの購入をご検討中の方は、迷わずそのまま最後まで突き進むべきでしょう。
<おわり>
※2022年9月30日時点の情報
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