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MINIクーペ試乗 最強のゴーカートフィール!

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すでにスクープ記事が上がっているように、MINIクーペには"男性ユーザーの拡大"という役割が期待されている。マーケティング担当者の言葉をそのまま伝えれば「平均以上の収入とモダンな価値観をもつ独身男性またはDINKSで、ケイマン、ボクスター、SLK、Z4、TTなどに憧れをもつ人々」がMINIクーペのターゲットユーザーだそうだ。また、プジョーRCZやVWシロッコもライバル車として名前が挙がっていた。要するに、スポーツカーのもつ個性や高いドライビングプレジャーを、自分のライフスタイルにスマートに取り込みたいと願う人たちを自社の顧客リストに加えることが、MINIクーペの狙いというわけだ。

もっとも、そういったマインドをもつ人の絶対数などたかがしれている。それでも担当者が「MINIクーペはMINIブランドにとって大きな意味がある」と述べている背景には、MINIブランドがスタイリッシュで個性的なコンパクトカーという狭い世界にとどまっているのは得策ではないという判断がある。今後のMINIビジネスを考えると、ブランド価値を高めるためにはクーペのようなスペシャリティ度の強いモデルがどうしても必要だったのである。

これと関連して、インタビューを通して興味深かったのがMINIビジネスのコアとなる考え方だ。「ブランド」「プロダクト」「リテール(販売)」のトライアングルが「profitability」を高めるうえでもっとも重要な点だというのだ。profitability…直訳すると収益性となるが、「ユーザーとメーカーがともに幸せになれる関係」と意訳してもいいだろう。ユーザーが本当に買ってよかったと満足でき、メーカーもきちんとした利益をあげられる。この理想的な関係を築くには優れたプロダクトだけでは不十分であり、高いブランド価値と優秀な販売店(箱も人も)が求められる。

こうしたトライアングルを追求してきた結果、MINIは高い顧客満足度を獲得することに成功した。JDパワーが2010年に行った「他人にすすめるブランド」という調査では、ポルシェに続く第2位にランクインしている。ちなみに3位はアウディ、4位はBMW。日本車では6位にアキュラ、9位にスバル、12位にレクサスが入っている。

MINIの価格レンジは219.9万円~440万円と、決してプレミアムブランドではない。しかし定期的なニューモデルの投入によって高いブランドイメージを保っているし、販売店に足を運べば多彩なアクセサリーやセンスのいいディスプレイなどが楽しげな雰囲気を味わわせてくれる。そこにカジュアルだが質が高く、小さいがクラスレスなプロダクトが加わることで、他のブランドにはない魅力が生まれる。次世代MINIがどんなモデルチェンジをしてくるのかはまだちょっと想像が付かないが、たとえデザインからオリジナル・ミニらしさが薄まっても、目指す方向性にブレがなければ、それが新しいMINIらしさにつながっていくのだろう。それがまさに普遍的なMINIの価値であり、永続性だ。

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