本当に「欲しい!」と思える1台――進化型GRヤリスに試乗。新旧比較でその真価を体感した
掲載 更新 carview! 文:山田 弘樹/写真:トヨタ自動車 10
掲載 更新 carview! 文:山田 弘樹/写真:トヨタ自動車 10
果たしてその走りはというと、思わず笑いが込み上げるほどの楽しさだった。
モードセレクトで「サーキット」を選べば、GPSの位置判定によってスピードリミッターの上限速度が引き上げられ、アンチラグ制御が入るのだという。アクセルオフでバラバラと、WRカーのような迫力あるバブリンググサウンドは聞こえてこなかったが、エンジンはターボのレスポンスが抜群なだけでなく、そのサウンドも明らかに磨きが掛かっていた。
そして加速も、十分に速い。
もちろんそれは、数千万円級のスーパースポーツたちが叩き出すような、身の毛のよだつ速さではない。しかし床まで目一杯アクセルを踏んで小さなGRヤリスをぶっ飛ばせば、脳みそからアドレナリンやらドーパミンがドッと溢れ出す感じがする。
そんなスピードを心から楽しめたのは、なんと言ってもGRヤリスが4WDだからだろう。そしてこの4輪制御が、雨の中ではびっくりするくらいにジャストフィットした。
ご存じの通りGRヤリスの4輪トルク制御は、モードセレクトにより「NORMAL」でフロント60:リア40、「SPORT」で30:70、「TRACK」で50:50という3つのパターンを持っていたのだが、新型では「NORMAL」はフロント60:リア40で変わらないものの、「SPORT」に相当する「GRAVEL」が53:47、「TRACK」は60:40~30:70の可変へと変更された。
そして筆者が一番リニアだと感じたのは、GRAVELモードだった。ブレーキングからターンインに掛けての安定感と、操舵後にリアが追従したときの、バランス・スロットルのしやすさが抜群なのだ。さらにアクセルの開け方次第ではオーバーステアを作り出して、そのコントロールを楽しむことさえできてしまう。
TRACKモードのリア寄りな駆動バランスで姿勢を作り出すドライバーもいるだろうが、フロントのトラクションがこうした低ミュー路では姿勢制御には効果的で、オーバーステア状態でそのままコーナーを駆け抜けるのも、TRACKモードの方がやりやすかった。ちなみにこのGRAVELモードは開発ドライバーの名前を取って、「大嶋(和也)モード」と呼ばれているらしい。大嶋モード、最高である。
>>合言葉は「壊してくれてありがとう」。レースで鍛えられた新型GRヤリスの過激すぎる進化の中身
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