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カローラクロス登場でますます充実のトヨタSUVラインナップ!! 多くの車種を抱える販売店はどう売るのか!?

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カローラクロス登場でますます充実のトヨタSUVラインナップ!! 多くの車種を抱える販売店はどう売るのか!?

 世界的に最も人気の高いのがSUVカテゴリーだが、それだけに各メーカーそのラインナップには力を入れている。

 そんな中、多くのSUVを販売しているのがトヨタだ。自販連統計による2021年の1月~6月の通称名(車名)別販売ランキングを見てもヤリス(含むヤリスクロス)、ハリアー、ライズ、RAV4といったところがベスト20に入っている。

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 他にもC-HRやプラドもあり、さらには大人気の新型ランドクルーザーに加えて2021年9月14日にカローラクロスが発売された。

 これだけ多くのSUVをトヨタはどのように販売しているのだろうか?

文/小林敦志、写真/TOYOTA、ベストカー編集部

【画像ギャラリー】これでますます充実のトヨタSUVラインナップ!! 2021年9月日本デビュー予定のカローラクロス

■トヨタSUVの『スキマ』を埋めるカローラクロス登場

すでに世界各地でデビューし、日本でも2021年9月にデビューしたカローラクロス。SUVラインナップの隙間を埋める、ディーラー待望の新型車だ

 すでに昨年7月にタイでワールドデビューし、世界各地でラインナップされているトヨタ カローラクロスが、2021年9月14日に日本でもデビューを迎えた。販売現場で話を聞くと、「これで隙間なくSUVがラインナップされることになった」とセールスマンからは喜びの声が聞かれた。

 現状でトヨタ(トヨタブランド)がラインナップするSUVは、今回デビューしたカローラクロスも合わせると、クロスオーバーSUVタイプではライズ、ヤリスクロス、C-HR、カローラクロス、RAV4、ハリアーとなる。

 これにいわゆる“クロカン”などとも呼ばれる、ランドクルーザープラドとランドクルーザー300がラインナップされることとなる。

 他メーカーの様子をみると、日産がキックス、エクストレイル、アリア。ホンダがフィットクロスター(とりあえず)、ヴェゼル、CR-Vとトヨタに比べれば極端に少ない。多いように見えるマツダでも、CX-3、CX-30、MX-30、CX-5、CX-8となり、トヨタより3車種少なくなっている。

 車種数だけではなく、トヨタではクロスオーバーSUVだけを見ても、自販連(日本自動車販売協会連合会)統計による、2021年7月単月でみると、C-HRが1369台で苦戦気味となっているが、そのほかのモデルはヒットモデルといっていい販売台数になっている。

 こんなところもトヨタ以外のメーカーを寄せつけない好調さの証となっている。

■海外勢ラインナップに追い付きつつあるトヨタSUV

海外勢のSUVラインナップ数からするとまだまだだが、カローラクロスのデビューによって競い合う準備が整ったという印象だ

 ただし、メルセデスベンツが日本国内でラインナップしているSUVを見ると、GLA、GLB、GLC、GLE、GLS、メルセデスマイバッハGLS、Gクラス、EQA、EQCとなり、さらにメルセデスベンツではクーペにカテゴリーしている、“クーペSUV”となる、GLCクーペ、GLEクーペを加えると、11車種となる。

 BMWが日本国内でラインナップするSUVは9車種、アウディも9車種となっている。いわゆる外資ブランドは海外市場で人気の高い“クーペSUV”のラインナップが充実しているだけ、トヨタよりラインナップ数が多めとなっている。

 すでに人気や流行という表現では語ることができなくなったのが世界市場でのSUVの販売状況。世界第二位のマーケットとなるアメリカでの2021年6月の新車総販売台数は1335万9000台、その内小型ピックアップトラックを含むSUVの販売台数は986万1000台となり、全体のなかで約73%を占める勢いとなっている。

 先進国のみならず、中国やASEANなど新興国でもおしなべてSUVが販売の主流になっているもしくは、なろうとしているといっていいだろう。

 そのなかで、日系ブランドは世界市場でもトレンドに乗り遅れSUVのラインナップは少なめとなっている。さらに日本市場はガラパゴス市場とも呼ばれているぐらい、世界市場とトレンドがズレているのだが、ようやくここ数年はSUVが注目されるようになっている。

■購入してから気付く不満も

日本でのSUV人気を決定づけたといってもいいC-HR。GRスポーツも登場して売れ行きに拍車をかけたが、購入してから後席や荷室の狭さに不満を持つユーザーもいた

 日本では3車種しかSUVをラインナップしていない日産でも、アメリカでは7車種ラインナップしている。しかし、トヨタのアメリカでのSUVラインナップは顔ぶれこそ多少変わるものの、日本市場と品ぞろえはほぼ変わらないので、トヨタがとくにSUVのラインナップが多いというわけでもない。

 ただし、縮小が顕著な新車販売市場ともいわれる日本で隙間なくラインナップを構築しているところが注目されているのである。

 トヨタの今日でのSUVラインナップ充実のはじまりを2016年として、時系列で見ていくことにする。2016年にC-HRがデビューすると爆発的な大ヒットとなった。それもそのはず、当時C-HRが登場するまで、トヨタでクロスオーバーSUVといえばハリアー(先代モデル)ぐらいしかなかった。

 しかもハリアーはトヨペット店の専売となっていた。そのようななか、SUVがジワジワと“きている”のを感じていたトヨタ系ディーラー(とくにトヨペット店以外の)セールスマンはC-HRの発売を心待ちにしていて、発売後はとにかく売りまくった。

 当時は3代目プリウスが爆発的にヒットしたことで、3代目プリウスユーザーが多くいたのだが、4代目プリウスが“アクが強い”とのことで、乗り換えるユーザーも少なめで、そんな3代目プリウスユーザーの受け皿としてもC-HRの販売促進を行った。

 しかし、C-HRは極端なクーペSUVスタイルを採用していたので、後席や荷室が狭く実用性に欠けていた。しかし、売る側だけでなく、買う側も勢いで買ってしまったという人も多く、納車後に後席や荷室の狭さに不満を持つユーザーも目立っていた。

 売る側のセールスマンも「なんか無理に売ってしまったようで」と後悔する商談も多かったそうだ。

 そんななか2019年春に現行RAV4が国内デビューする。販売ターゲットはヴァンガードやクルーガーなど絶版SUVユーザーとなっていたが、セールスマンのなかには、自分が管理するC-HRに乗っているお客のなかで、不満を持つひとにRAV4への乗り換えを積極的に勧め、実際乗り換えるひとが多かったそうだ。

■他車からSUVに流れることも

ダイハツ ロッキーのOEMとして登場したライズ。5ナンバーサイズの『ちょうどよい』SUVとして、大きなクルマから乗り換える人も多かった

 2019年11月にダイハツからのOEM(相手先ブランド供給モデル)となる、ライズが発売となる。

 トヨタ以外も含むコンパクトカークラス全体では、オーソドックスなハッチバックスタイルのモデルが目立っていた。

 そんななか、すでにスズキでライズと同クラスのコンパクトクロスオーバーSUVとなるクロスビーが販売されていたものの、“トヨタブランドのコンパクトクロスオーバーSUV”ということで、トヨタでいえばパッソあたりを検討していたダウンサイザー(大きなクルマからコンパクトカーや軽自動車に乗り換えるひと)がライズに飛びつき大ヒットとなった。

 5ナンバーサイズのクロスオーバーSUVとなり、1Lエンジンを搭載していたので、自動車税も安く、フル装備で購入しても支払総額はたかがしれているので、オプションテンコ盛りの“贅沢仕様”にして購入するひとも目立っていた。

 ただし、「ハイブリッドはないんだね」と購入を諦めるひとや、「ハイブリッドがなくてもいいか」と購入するひとも目立っていたとのこと。

 しかし、デビュー以降ヒットが続いていたライズの前に、2020年8月末にヤリスクロスがデビューする。ライズとは異なり3ナンバーサイズとなるのだが、ハイブリッドがラインナップされているのが最大のトピックであった。

 セールスマンは「ハインブリッドがない」としてライズの購入を諦めていたひとや、ハイブリッドがないもののライズを購入して乗っているひとなどに、「ヤリスクロスはハイブリッドがありますよ」と勧めたそうである。そして、実際ヤリスクロスを購入したひとも多かった。

 ここまで2016年から時系列でトヨタのSUVの様子を見てきた。

 C-HRからRAV4へ、ライズからヤリスクロスへと、緻密なラインナップを構築していく過程では、近い車格で「新型車が出ましたよ」と、新車購入後短期間といったお客への乗り換えを促進しやすく、それが販売実績の上乗せに大きく貢献することとなるのである。

■大きすぎる、小さすぎるの真ん中を埋めるカローラクロス

ヤリスの派生車種として登場したヤリスクロス。実車を見て、やはり小さいという印象を持つ人もいた

 ただここまできて、ヤリスクロスを購入したひとのなかには、「やっぱり小さいね」とか、「所詮ヤリスの派生モデルの印象が強い」などと不満を持つ人がいる一方、RAV4では「ボディサイズが大きすぎる」という不満が目立っていた。

 ただヤリスクロスからRAV4、RAV4からヤリスクロスでは、極端なダウン及びアップサイズになってしまう。そんななか、カローラクロスが登場した。「ヤリスクロスからだけでなく、RAV4からの乗り換えも勧めやすいサイズのモデル」として、前述したようにセールスマンは大歓迎状態なのである。

 ラインナップを形成途中では、「こんな新型が出ますよ」と、納車してそれほど年月の経っていないお客へ乗り換えを促進し、短期間で次々に新車へ乗り換えてもらうことで販売台数を稼ぐことができる。

 そしてカローラクロスが発売されて、いよいよラインナップの構築が完成すると、他メーカーのSUVを検討させずに販売促進活動が展開できるメリットが大きくなるのである。

 例えば「ライズはハイブリッドないですけど、ヤリスクロスはハイブリッドがありますよ」とか、「RAV4はボディサイズが大きいので、カローラクロスはいかがですか?」とセールスマンが案内する。

 すると、よほど自分の乗るクルマへのこだわりがなければ、トヨタ以外のメーカー車は意識せず、トヨタ車のみで購入車種の絞り込みを行うお客も増えてくるというもの。

 カローラクロスの国内デビューが濃厚となると、「ヤリスクロスより大きい、カローラクロスというクルマが近々デビューします」と、ヤリスクロスでは決まるのが難しそうなお客には、カローラクロスを案内して、登場するまで待ってもらったという話も聞いている。

 カローラクロスはどのようなお客に対して販売促進を行うのかとセールスマンに聞くと、「ヴァンガードやクルーガーユーザーはもちろんですが、現行RAV4やヤリスクロスに乗っておられるお客様へも販売促進は積極的に行ないます」と語ってくれた。

 残価設定ローンを利用しての新車購入が増えてきており、多少の頭金は必要となるものの、月々の支払い額がほとんど変わらなければ、納車後1年未満の新車に乗っている人でも、新車へ乗り換えるひとが目立つとのこと。

 「2回や3回車検を受けて乗り続けているお客様より、納車後1年未満の新車に乗るお客様のほうが簡単に乗り換えてもらえるケースが目立つ」とは現場のセールスマン。

■トヨタSUVの中でも別格のハリアー

トヨタSUVの中では別格の高級感を持つハリアー。上質なイメージから他メーカー車からの乗り換えも目立つ

 いままでハリアーには触れてこなかったが、ハリアーは歴代ハリアーを専売してきたトヨペット店が、歴代ユーザーを管理してきていることもあり、販売台数は多めとなっている。

 現行モデルは2020年5月にトヨタ系ディーラー全店で全車種併売化を始めた翌月に正式発売となっており、トヨペット店以外のトヨタ系ディーラーの販売実績が上乗せされ、ヒットモデルとなっている。

 ただトヨペット店以外では、クラウンを専売していたトヨタ店で、クラウンからの乗り換えが目立っているようだが、カローラ店やネッツ店では、ハリアーの販売はあまり得意としていないように見える。

 また、「レクサスブランドでもおかしくない」と言われるほど高級で上質なイメージを持つモデルだけに、トヨタ以外の他メーカー車ユーザーも積極的に取り込んでいるようである。

 ハリアー以外でも他メーカー車ユーザーを取り込んでいるのは言うまでもないこと。例えば、フィットクロスターをはずせば、ヴェゼルとCR-Vしかラインナップしないホンダでは、この2台に納得できなければ他メーカー車を検討するしかない。日産も同様である。

 SUVのラインナップ自体は多めのマツダだが、ディーゼルはあるがハイブリッドがないのが泣き所(最近はEVはあるが)。ディーゼルを搭載するSUVなら、クラスによれば輸入車も購入対象に入ってきてしまう。

 ライズ以外ではハイブリッドが用意され、それが販売の中心となっているトヨタのクロスオーバーSUVラインナップはまさに強力なものになっていると言っていいだろう。

■他のメーカーに一歩譲る『スキマ車種』も

RAV4 PHV。プラグインハイブリッドは大きなセールスポイントだが、PHEVに強い印象がある三菱に一歩譲るイメージもある

 ただ死角がないわけではない。RAV4にPHVがあるが、三菱ではアウトランダーとエクリプスクロスにPHEVがラインナップされており、なんとなく「PHEVの三菱」みたいなイメージができている。

 また、スバルでは海外でラインナップされている、ステーションワゴンをSUV風にした、“アウトバック”が9月2日に国内発表された。このタイプもトヨタにはいまのところない。

 さらには、アメリカあたりではミニバン代わりに“ママ ビークル”として人気の高い、フルサイズで3列シートを採用するSUVがまだラインナップされていない(マツダにはCX-8がある)。

 ただし海外市場ではハイランダーがすでにあり、中国では兄弟車のクラウンクルーガーもあるので、市場動向次第では導入もありえる状況といっていいだろう。

 販売力を考えれば、トヨタ以外のメーカーがトヨタ並みにSUVの緻密なラインナップを構築するのはほぼ不可能。となれば、前述した三菱のPHEVや、スバル アウトバックなど、トヨタにはない“隙間商品”的なもので他メーカーは対抗していくことになるだろう。

 緻密に見えるラインナップでも隙間は必ずあるはずだ。ただ、“隙間商品”とは言えないほど、市場での反応がよければ、たちまちトヨタが自社から同じコンセプトのモデルをラインナップしてくるだろう。

【画像ギャラリー】これでますます充実のトヨタSUVラインナップ!! 2021年9月日本デビュー予定のカローラクロス

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みんなのコメント

33件
  • いつも通る道にトヨタの販売店がある。
    2、3ヶ月おきに新しいモデルが展示されてる。
    ヤリスクロス、アクア、ランドクルーザー。今日はカローラクロスが展示されてた。
    同じ通りに他のメーカーの販売店があるが、いつも同じ車ばかり展示されてる。
    販売員さんも、辛いだろうなとよく感じる。
  • 国内向けにもまともなステーションワゴン出せよ~
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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