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CLA海外試乗。メルセデスの新型4ドアクーペ

明らかに漂う、不思議な滑らかさ

我々が想像するメルセデス・ベンツの走りのキャラクターはおそらく、矢のように直進するとか身を任せられるとか、つまりは高い安定性と安心感で全てを受け止めてくれるような懐の深さを持つ感覚だろう。もちろんその分、若々しさや楽しさが薄れるのは仕方ない…的な。ある意味、無言で優しく見守ってくれる親のような存在。楽しい時間を過ごす友達とはチト違う、かなと。

そうしたイメージをぶっ壊したのが現在のAクラス。乗って驚いたのは、なんとまぁスポーツ志向なハンドリングマシンになっているじゃないか! ということ。乗り味はちょっとカタめで、路面をダイレクトに伝える部分もあって、ステアリングを操作するとビビッドにノーズがインを向く。しかもワインディングでは深い舵角からでもトラクションがかかる、といった具合で、ある意味これまでのメルセデス・ベンツとは180度逆、といえるようなフレッシュで刺激的な走りを身につけていた。

それを受けて登場したCLA、まずそのスタイリングは4ドアサルーンながらクーペ的である。ならば走りはAクラスに輪をかけて…と思いきや、意外な着地点を見せたのだ。走らせた瞬間から、そこにはAクラスとも異なる、不思議な滑らかさが明らかに漂っていたことに驚かされた。しかもこの滑らかさ、なんだかどこか懐かしい、王道のメルセデス・ベンツの風味がエッセンスとして漂っていたのだ!

ならばCLAは王道のメルセデスライドを持ったコンフォート志向の1台なのか? と誰もが思うだろう。しかし単なる王道メルセデスライドに終わっていないところがCLAの乗り味の新しさであり、FFの新境地を開拓した、といえる部分なのである。

王道のメルセデスライドは、乗って即座に感じた滑らかさに起因する。特に効果を発揮しているのは、先に解説したリアサスペンションの変更である。これによってCLAは、不思議な滑らかさを手に入れたわけだ。

しかしCLAは単にマイルドな乗り心地のクルマにはなっていない。段差や荒れた路面ではハッキリと衝撃を伝える。要はサスペンション自体は締まっている。その証拠に速度が上がるほどにライド感はフラットなものになっていく。もちろんこのフラット感も超絶に気持ち良いのは、先のリアサスのおかげだろう。

そして圧巻はハンドリング。その乗り味からすれば、ハンドリングはぼんやりしていて不思議じゃないのに、Aクラスゆずりの狙ったところにピタリとつける正確でビビッドな感覚がある。手のひらに伝わる感触は明らかにAクラスよりも滑らか。だけど動きはしっかりとシャープさを感じさせるのだ。まさに理想的なスポーツサルーン。そしてここに、FFの新境地を開拓した、と記した理由があるわけだ。

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