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CLA海外試乗。メルセデスの新型4ドアクーペ

メルセデス・ベンツであり続けるために

ひょっとしたら我々こそが、メルセデス・ベンツというブランドを、歴史と伝統に縛り付けて古い価値観で見ているのではないか? 新型CLAに見て触れて乗って、そんなことを考えた。要はプロダクトを受け取る我々の価値観が、見えるものを見えなくしていることもあるのではないか、と。

CLAはその顔つきからも判るように、今年の始めに日本へ上陸したAクラスと同じプラットフォームを採用した、いわゆるFFのコンパクトファミリーの一員だ。既に登場済みのBクラスと合わせると現在3兄弟で、この後にSUVのGLA、さらにもう1台の派生モデルが控えていると言われる。

Bクラスは先代モデルのイメージを受け継いだハイト系のスタイルで登場したが、Aクラスはこれまでとは全く異なるスポーティ路線を標榜したのは記憶に新しい。歴史と伝統に裏打ちされた威厳や風格とは全く異なる、若々しくてフレッシュでスタイリッシュなメルセデス・ベンツ。変化は間違いなく、このブランドの今後を示唆するものだが、それに違和感を覚えた人もいるのではないか?

 

実際、「メルセデスも変わったナ」なんて訳知りなセリフが聞こえてきそうだが、何もこれは今に始まったことではない。既に1993年のW203型Cクラスや、1995年のW210型Eクラスの登場の頃からそんなセリフは良く使われてきた。

けれど思い返せばそうしたセリフを聞くほどに、メルセデス・ベンツは着実に進化して、ともすれば歴史と伝統にあぐらをかいて陳腐化するブランドにはならず、常に時代をリードする立場に立ってきたことは間違いない。

今やどのブランドのクルマでも一定以上の性能や品質を手に入れたことで、昔ほどブランドによる、クルマによる差はなくなりつつあり、それはメルセデス・ベンツとて例外ではない。しかしそうした状況でとりもなおさずメルセデス・ベンツがメルセデス・ベンツであり続ける理由は、時代に合わせて確実にブランドを、クルマを、様々に進化させ変化させてきたからこそだ。

いま目の前にあるCLAに、そうしたことを感じる。ニューウェーブが立ち上がっている、と。

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