この記事をまとめると
■日本には8つの乗用自動車メーカーがある
ファンなら住みたい! スバル町にダイハツ町など「自動車メーカー名」が付けられた4つの地名
■世界中で販売する巨大メーカーがひしめいているのが特徴
■それぞれどんな歴史、特色を持っているのかを解説
5分でわかる各メーカーの特徴!
日本は世界でも有数の自動車メーカー王国です。欧米に比べると創業年数は短いものの、2021年のグループ別世界販売台数でトヨタが2年連続のトップを獲るなど、世界中で販売する巨大メーカーがひしめいているのが特徴。今回はそんな日本の乗用自動車メーカーがそれぞれどんな歴史、特色を持っているのか、サクッとまとめてご紹介したいと思います。
まずトヨタ自動車は、創業者である豊田喜一郎が自ら発明した自動織機を使い、綿製品を輸出販売していた豊田紡績株式会社をルーツとしています。織機製作で培った技術を活かし、これからは自動車の時代がくると読んで1937年にトヨタ自動車工業が設立されました。工場では、トヨタ生産方式と呼ばれる「ジャスト・イン・タイム」を提唱。戦争によってしばらくはトラックが中心の自動車製造でしたが、1960年代に現在も続く大衆車ブランドのカローラが大ヒット。海外進出を果たし、1974年には乗用車生産台数で世界一を記録するまでに成長します。
また、1989年には北米を主要マーケットとする高級車ブランド、レクサスを立ち上げ、大衆車を得意とするトヨタとは一線を画した販売戦略を取ることに。住宅、金融サービス、通信といった新規事業開発にも乗り出し、新会社を設立しています。そして1997年には世界初の量産ハイブリッドカー「プリウス」を発売、エコカー時代への先陣を切ります。水素を使ったFCV「ミライ」も登場し、次世代パワートレインでのアドバンテージを持つ印象を高めているのがトヨタ。ですが一方では、豊田章男・現社長が自ら世界最高峰の耐久レースに参戦し、面白いクルマを作るために奮闘する姿も知られています。
続いて、ルノー、三菱とのアライアンスがあり、近年は電気自動車に力を入れている日産自動車。前身となるのは、小型車ダットサンを製造していたダット自動車です。1933年にダットサンの製造権を譲り受け、創業。日本初の大量生産工場となる本社工場を横浜に設立したのが1935年のことでした。ダットサンで北米への輸出をスタートし、海外でも人気を獲得。1947年にはのちに日産と合併するプリンス自動車の前身となるたま電気自動車が、世界初の量産EVを販売。
1960年代にはフェアレディ、スカイライン、シルビアといった、現在も世界中にファンの多い名車が誕生します。とくにスカイライン2000GT-Rは、その後のモータースポーツシーンでのGT-R伝説の始まりとなり、80年代にはテレビドラマ「西部警察」に特殊車両として登場し、多くのファンを獲得しました。日産はこうしたテレビを有効に使ったPR力に長けており、CMでも「マッチのマーチ」や井上陽水が「お元気ですか」と呼びかけるセフィーロなどで話題に。現在は小型エンジンを発電専用に搭載するe-POWERの販売が好調で、「やっちゃえ、日産」のフレーズで矢沢永吉、木村拓哉をイメージキャラクターに起用。
自動運転レベル2を軽自動車にも搭載している「プロパイロット」でも、その技術をクルマ以外の分野に応用し、人々を驚かせています。
ホンダは小さな町工場からのスタートだった
次は、2021年にF1で悲願のコンスラクターズタイトルを獲得し、今後はカーボンニュートラルへの挑戦をすると宣言して、F1から撤退した本田技研工業、通称ホンダ。その始まりはヤンチャで好奇心旺盛で、人の喜びを自分の喜びと思える温かい心を持った1人の遠州男児、本田宗一郎が1948年に創立した小さな町工場からのスタートでした。自転車用の補助エンジンが大ヒットし、自社製エンジンを開発。1949年にはドリームD型という2輪車が登場。「今に世界のHondaになる」がこの頃から本田宗一郎の口癖でした。世界の累計販売台数が2021年末で1億台を突破したカブも登場し、1954年にはマン島TTレースにも出場。まず2輪車で世界に名を馳せていったのがホンダの特徴です。そして1962年には日本初の本格国際サーキット「鈴鹿サーキット」が完成し、1964年にRA271というマシンでF1デビューを果たし、翌年のメキシコGPで初勝利。1967年にはホンダ初の乗用車としてN360が誕生。
これは現在の軽自動車Nシリーズの祖先にあたります。モータリゼーションの高まりとともに世界各地で公害が問題となり、もっとも厳しい排ガス規制をしいたカリフォルニア州のマスキー法を、世界で初めてクリアしたのがホンダでした。シビック、アコードといった人気モデルも登場し、四輪メーカーとしての存在感を強めていきます。また、クルマだけでなく耕うん機、船外機、発電機や芝刈り機、除雪機といった、生活の中で活躍する汎用製品も多く生産。近年ではプライベートジェット機も実現し、陸・海・空すべての分野でホンダ製品が愛されている希少なメーカーとなっています。
続いては、現在も使われているスリーダイヤ・マークが登録されたのは1914年という歴史を持つ、三菱自動車。国産ジープの販売会社が前身となる新三菱自動車販売会社をルーツに持ち、のちに三菱自動車工業となります。日本初の量産乗用車「三菱A型」は1917年に登場。1960年にコンパクトファミリーカーの三菱500、翌年に軽自動車の先駆けとなる三菱360を発売し、1962年にはマカオグランプリで三菱500がクラス1位から3位を独占。
モータースポーツでも頭角を現し、1967年にサザンクロスラリーでコルト1000Fがクラス優勝を遂げると、ラリーの三菱、四駆の三菱のイメージが浸透していきます。1982年にはのちにパリダカで圧倒的な強さを見せつけることになる、本格クロカンSUVのパジェロが登場。1992年に、即完売した伝説を持つランサーエボリューションが誕生し、WRCでも大活躍。速い四駆、曲がる四駆のイメージは多くのファンを獲得しました。現在はラインアップをSUVメインとし、EVでの走行距離が長いPHEVを主力モデルとしています。
次は、2020年に創業100周年を迎えているマツダ。1920年に創業時は東洋コルク工業としてコルク生産を行なっており、この技術がのちに3輪トラック開発に生かされています。1960年代にトラックから乗用車へ舵を切り、R360クーペが誕生。
これが大ヒットし、続くキャロルもロングセラーとなります。そして今でもマツダの代名詞的存在となっているロータリーエンジンを搭載したモデルとして、1967年にコスモスポーツが登場。他社にはない独創的な技術を発信し続ける現在のマツダは、この頃からスタートしているのです。また1989年に発売されたロードスターは、世界でもっとも生産されたライトウェイトスポーツカーとして、ギネス記録を保持し続けています。
そして2012年には、内燃機関をとことん突き詰めて環境問題に立ち向かう、SKYACTIV技術を前面に。マイルドハイブリッドと合わせて、マツダの大きな特色となっています。
ダイハツは日本で最初の国産エンジンを発明
続いては、日本で最初の国産エンジン「6馬力吸入ガス発動機」を1907年に完成させ、1930年に1号車となる3輪自動車「HA型」を発売しているダイハツ工業。いつの時代も、暮らしに寄り添うコンパクトカーを発売してきた自動車メーカーです。1967年にはトヨタと業務提携し、軽自動車中心のブランド展開をスタート。ミラ、ムーヴ、コペン、タントといった現在も人気のモデルを次々と投入してきました。2021年には、50年以上に及ぶ電動化の研究により、小型エンジンで発電して100%モーター走行できるe-SMART HYBRIDをコンパクトSUVのロッキーに搭載しています。
次は、1909年に鈴木式織機製作所として創業し、バイクモーター「パワーフリー号」などを経て1954年に鈴木自動車工業となり、1955年に軽自動車「スズライト」を発売したスズキ。
現在もコンパクトカー、軽自動車を主力モデルとし、早くからタイ、インドネシア、インドなどアジア各国での現地生産・販売に力を入れてきたことでも知られています。1970年には、軽自動車の本格クロカンSUVである「ジムニー」を発売。1979年に発売した「アルト」とともに、現在も愛されるモデルとなっています。海外ではホンダ、カワサキと並び、2輪車でも多くのファンを獲得。とくに「カタナ」はカワサキの「ニンジャ」とともに欧米でもファンが多いモデルとなっています。また、WRCでも活躍したスイフトスポーツ、全日本ラリーで大暴れしたアルトワークスなど、走りにこだわったコンパクトカーを持つメーカーとしても有名です。
続いては、戦前は国内最大級の航空機メーカーだった「中島飛行機」をルーツとするSUBARU。おうし座で知られるプレアデス星団の日本名「昴」に由来し、エンブレムも六連星がデザインされています。独自の技術が豊富で、世界でもポルシェとスバルのみが採用する水平対向エンジンにはじまり、シンメトリカルAWD、アイサイトなど、少しずつ磨き上げながら長く採用されています。これも、戦後の財閥解体によってゼロからの出発となった自動車メーカーとしての、強い信念の表れともいえます。1989年に誕生したステーションワゴンのレガシィ、WRCでも大活躍したインプレッサなどで、欧米のファンも獲得しています。
以上が現在、日本国内で乗用車を製造・販売している自動車メーカー。このほか、商用車では日野自動車、三菱ふそう、いすゞ自動車があります。
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