新型「ランドクルーザー」は静粛性でガソリン有利、オンロードのベストはGRか
掲載 更新 carview! 文:塩見 智/写真:篠原 晃一 226
掲載 更新 carview! 文:塩見 智/写真:篠原 晃一 226
2018年のメルセデス・ベンツ「Gクラス」、ジープ「ラングラー」、スズキ「ジムニー」、19年のランドローバー「ディフェンダー」と、ここ1~2年は本格オフローダーのモデルチェンジまつりだ。そしてわが国代表のトヨタ「ランドクルーザー」も今年14年ぶりにモデルチェンジした。車名はランドクルーザー200から300へ。オンロードのみながら試乗の機会を得たのでその印象を報告したい。
歴代ランクルはモノコックではなくボディオンフレーム構造を採用し、300もそれを踏襲した。そのほうがシビアコンディションに強く、信頼性、頑強さ、ボディ形状の自由度など、このクルマに求められる性能を維持しやすいからだ。今回、フレームシャシーは新開発された。ひとつの車台(プラットフォーム)からどれだけ効率よく多くの車種を生み出せるかという勝負になってきている乗用車の分野で、トヨタといえどもランクルのためだけに新規開発したわけではない。この後登場するはずのプラドに流用するのはもちろん、北米市場を中心に販売台数が非常に多いピックアップトラックにも使うからそれが可能なのだ。
外観はひとことで言えば押し出し系。特にフローティングデザインのフロントグリルは嬬恋村の鬼押出し園の溶岩もかくやの迫力だ。そもそも全長4985mm、全幅1990mm、全高1925mm、ホイールベース2850mm(試乗したZXの場合)という巨体にこの顔なので、存在感は乗用車最高レベルだ。ただし顔つき以外はシンプルですっきりしたデザインだからか、不思議と不快な威圧感はない。エンジンフードの中央部分が深くえぐれているのが特徴的だ。気になったのはリアバンパー中央にあるおむつのようなヒッチカバー。見た目的にいただけない。開発陣は「バンパー全体を大きくすればツライチにできたが、そうはしたくなかった」というが、方法はあったはずだ。
車内のデザインや仕立ては押し出しの強い外観とは打って変わって普通。昔ながらのトヨタの内装で、クラウンやアルファードを乗り継いだ人が違和感なく過ごせそうな趣だ。近頃のラグジュアリーモデルは音声認識システムやタッチパネルに多くの操作系を組み込み、インパネの物理的なスイッチの数を減らす傾向にあるが、ランクルのインパネには結構な数のスイッチが並ぶ。グローブをしたまま操作するケースも考慮しているのだろう。日本国内で販売上ライバルとなるであろうモデルと比べると洗練されてはいない。ダッシュボードやドア内張りのフィニッシュが甘いのもやや気になった。
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