【“謎”と“珍味“好き以外は閲覧注意】個性派揃いのフランス車! イイところ&注意点とは?
掲載 carview! 文:伊達軍曹 37
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「フランス車のイイところ、注意しておくこと」といっても、自動車ビジネスのグローバル化とEUの一体化が進んだここ最近の欧州車は、どこの国のモデルもおおむね同じようなモノである……というのはさすがに乱暴かもしれないが、かつてのように“お国柄”が顕著に現れているわけでもないため、いきなりの結論としては、下記のようなものにならざるを得ない。
「フランス車のいいところは、ドイツ車とだいたい同じです。注意しておくべきことも、ドイツ車とおおむね同じです」
最近のフランス車はドイツ車同様に「高速域での直進性能やハンドリング性能」にかなり優れており、またドイツ車同様に「あんまり壊れないが、たまに壊れる。そして壊れた場合の修理代(部品代)は、国産車よりも高い」というのが“注意しておくこと”になる。
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そのうえで最近のフランス車には、以下のような“ドイツ車よりもイイところ”がいちおうあるだろう。
●ずいぶん硬めにはなったが、それでもドイツ車よりは足がソフトめで快適である
●ずいぶん似た感じにはなったが、それでもドイツ車よりは内外装デザインのセンスがよろしい
●「フランス車=壊れる」みたいなイメージもあったが、最近は、どちらかといえばドイツ車のほうが壊れやすいような気もする。
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そのいっぽうで、いちおう存在する“注意しておくところ”は、下記のようなものだろうか。
●東京都内とかに住んでいるなら問題ないが、地方では正規ディーラーや専門工場の数が少ないため、メンテナンスにちょっと苦労する場合がある
●モデルによりけりではあるが、いわゆる先進安全装備がショボい場合もある
もしもここ最近のフランス車を買いたいのであれば、上記のような「いいところと良くないところ」をいちおう頭に入れたうえで、後はフォルクスワーゲンを買うのと似たようなニュアンスで気楽に買いに行けばいいだけの話。それゆえ、何の問題もない。
「問題」なのは往年のフランス車、具体的には20年落ちまたは40年落ちぐらいのフランス車を、なぜか欲しくなってしまった場合であろう。
その頃までのフランス車は「EU車」または「地球車」ではなく、明白に「フランス車」であったため独自性が強く、その独自性がもしも貴殿のお好みに合うのであれば、いわゆるひとつの絶対的なオススメとなる。素晴らしい選択だ。
だが往年のフランス車の独自性は「美点だが、見方によっては欠点でもある」という“表裏一体”のものである。そのため、その表裏一体性を十分理解したうえで購入することが肝要となるのだ。
往年のフランス車の(表裏一体な)独自性とは、おおむね以下のとおりである。
個人的にはフランス人のギャグセンスも日本人には理解しにくいと思っているが(サッカー日本代表のトルシエ元監督のユーモアも、かなりわかりにくかった……)、それ以上に謎なのが、20年ぐらい前までのフランス車における「カーデザイン」である。
わかりやすい例としては「シトロエン C5」だろう。
2008年に「C5セダン」または「C5ツアラー」として復活した2世代目のシトロエン C5は、汎欧州的な美意識にのっとった「わかりやすいカッコよさ」がある外観デザインだった。
だが2001年に発売された初代C5およびC5ブレークは、完全に謎だった。特に、目元のデザインが変わった後期型の意匠は、トルシエ元監督の冗談以上に理解しがたい何かであった。
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このデザインにGoサインを出したシトロエン社の上層部とは絶対に友だちになれねえな……など思ったものだが、不思議なことにしばらくすると、往年のフランス車の謎デザインというのは愛おしく思えてくるものだ。
それを「くさやの干物に似ている」などと言ったらマジメなフランス車愛好家に怒られそうだが、まぁとにかく昔のフランス車のデザインは“珍味的”なのだ。クセになるというか。
くさややこのわたなどの珍味がお好きな人であれば、往年のフランス車も十分イケるだろう。
普通のドイツ車であれば3LのDOHCあたりをガツンと載せてくるような車に、昔のフランス人は平気でSOHCの2Lや1.6Lぐらいのしょぼいエンジンを載せていた。当然ながらカタログスペックも、ドイツのそれは「最高出力225ps!」とかになっていたが、例えば1990年代初頭の「シトロエン エグザンティア SX」のSOHC 2Lエンジンは「120ps」でしかなかった。
だがその120psは、実質的にはけっこう速かった。
さすがに出足は225psにボロ負けするが、ひとたび速度が一定以上に乗れば、ソフトだが十分に踏ん張る足回りの良さと併せ、高速道路の山岳セクションでは下手っぴが乗る225psのDOHCを軽くぶっちぎることも可能だったのだ。
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この「120ps的エンジンを載せる」という意志決定はフランス人の、よく言えば合理性、悪く言うなら「ケチ」な気質によるものだったはずだ。
「無駄にでっかいエンジンを載せたところで、燃費が悪くなって税金も高くなるだけなんだから、結論として速く走れるのであれば、エンジンなんてシンプルで小さいやつで十分!」というような思考プロセスで、120ps的なるものが搭載されたのだ。
このあたりを「おもしれえじゃん!」と思える人には、往年のフランス車は向いている。だが「そんなショボいエンジンの車に乗った日には末代までの恥だぜ!」的に思うのであれば、やめておいたほうがいいだろう。
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このほか、往年のフランス車には「新車時からけっこう壊れまくる」という特徴(?)もあったが、本当に壊れまくる個体の多くは、すでに土に還っている。そして現存している個体の多くは「数々の苦難を乗り越えてきた強者(つわもの)」であり、そのメンテナンスの勘所も、専門店各位は十分に心得ている。
そのためマトモな店でマトモな個体を、マトモな金額を出して買う限りにおいては、故障への過剰な心配をする必要はない。
とはいえ、それでも壊れるというか、消耗部品が寿命を迎えたり、思いもよらぬパーツがもげて落ちたりするのが往年のフランス車である。というかフランス車に限らず、往年の車全般である。
そのあたりの事象に寛容になれない人は、仮に往年のフランス車のおしゃれっぽさに魅力を感じたとしても、やめておいたほうがいいだろう。
だがもしも寛容であり続ける自信がそこそこあるのであれば――迷わず「専門店へGo!」だ。実際筆者も今、東京都大田区の某専門店で、ハイドロニューマチックのシトロエンが買いたくてたまらんのですよ……。
写真:ステランティスジャパン ルノー・ジャポン
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