マツダとスバルは対極。多くの人がロードスターの人馬一体を誤解している
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:篠原 晃一 1
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せっかくなのでロードスターを理解するためにも、マツダの考える「人馬一体」について掘り下げておこう。セレブぶって乗馬もたしなんでいた経験からすると、馬はデリケートでなかなかイメージ通りに動いてくれない。右の手綱を引けば右に行く…基本は確かにそうだが、馬によって左足が前に来たときに引くとスマートに曲がり出すとか、右足で軽く脇腹を押すといいとか、タイミングやコツが要るのだ。
ロードスターに乗ると乗馬の本質を思い出す。走りに優れるイメージが先行するロードスターだが、率直に言うと乗りやすいモデルじゃない。姿勢変化は大きめだし、連続するカーブなどでグラグラしやすい。クルマの状態を理解しようとせずに、ドライバーが独りよがりにハンドルを切れば、イメージ通りに旋回する爽快感など得られないのだ。
逆に、荷重変化やクルマの状態をつかみ、ハンドルを切り込む際にはアクセルを少しずつ戻すなど、運転の基本に忠実な操作を行うと、ロードスターは気持ち良く走る。理にかなった操縦の下では足回りにもさらなる余裕が出て、普段なら跳ねてしまうような旋回中の路面のうねりでさえ吸収してくれる。まさに運転スキルに相応の結果がストレートに得られるわけだ。
例えば、スバルが作るスポーティなモデルだと、圧倒的な安定感でドライバーを包み込み、誰がいつどのような環境で乗っても運転がうまくなったように走れる世界を大事にしているように思える。運転の善し悪しをクルマの動きに明確に出すマツダの「人馬一体」と、運転が上手くなったかのように走るスバルの乗り味の世界は、対極と言っていいほど違うとも言える。
なぜこんな話をしたかというと、ロードスターとロードスターRFの進化を確認して、2台が歩む道が違うと感じたからだ。前者は人馬一体感の追求、後者はスバルのように運転がうまくなったかのような乗り味の方向性の違いだ。
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