DCTを採用した新しいMINIに賛否両論。一押しグレードは?
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:望月 浩彦
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:望月 浩彦
駐車場でご対面したときの非日常やワクワク感を抱かせるアイコニックな見た目。世界中探しても、MINIに似た内外装のクルマはどこにもない…それほどルックスは個性的なのに、走り出すと優等生的な、完成度の高い乗り味が備わり始めたのが新しいMINIだ。
うーん、この乗り味に拍手は送りたいが、MINIらしさとはこんな世界観なのだろうか? もっと型破りで、刺激的で、仕事やプライベートの嫌なことも、アクセルをひと踏みして、ハンドルをクイッと操作したら忘れられるような躍動感のある従来のMINIが懐かしくなってしまう。
「ポルシェ 911」が空冷から水冷になったときや、自然吸気エンジンを大事にしてきたモデルがターボエンジンに変わったときのような、クルマの性能は確実によくなっているのに受け入れたくない、そんな感情かもしれない。そうなるとよりMINIらしい走りをもった従来型を買ってもいいのかもしれない。
一方、ファッション性や個性的な見た目が好きなら、優等生的な新型MINIの方が幸せになれる。そして、この傾向の人達にはクーパーSもオススメのグレードとなった。新型はかなり穏やかで上質な味付けになったからだ。
おそらくMINIは、ジョンクーパーワークス=JCWを通常モデルの頂点としてポジショニングすることを明確にしたのではないのだろうか? そう勘ぐりたくなるほど、クーパーSは今までのトゲトゲしさが抑えられ、乗りやすくなった。以前のように荒れた道でガタピシと振動することも少なければ、ゴツンゴツンと突き上げが来る頻度も少ないし、何よりヒュンヒュンと俊敏に曲がる感覚もマイルドになっている。特にコンバーチブルはマイルド。後席後方に幌が畳まれる凝った収納動作を見せびらかしつつ颯爽と走る、そんな使い方が似合う世界観をクーパーSが備えてきた。
この上質さや優等生ぶりは、やはりBMWと基本となるプラットフォームを共有化したことでもたらされたのだろう。そう考えると、全てに納得がいく。
例えばゴーカートフィーリングは健在だが、以前のように曲がり始めるとフロントに荷重が乗ってますます曲がり込むような特性は影を潜めた。新型もクイッと俊敏に曲がり出すが、それは演出的な味付けであり、クイッという動きの後は無駄な車体の動きが抑えられ、前後タイヤをバランスよく使って綺麗に旋回していく。“綺麗な旋回”や“自然”といった表現をMINIに使うのは初めてのことだ。
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