マツダ3、スカイアクティブXの価値は数値的なものより唯一無二のフィーリング
掲載 更新 carview! 文:島下 泰久/写真:菊池 貴之 369
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リーンバーンとは燃料に対する空気の割合を多くして燃焼させること。燃料が少なければ当然効率が良いし、吸気の際のポンプロスも小さい。燃焼温度が下がるからNOxも減るといった多くのメリットがあるが、通常のエンジンの理論混合比である14.7:1に対して、倍以上の空気量を持つ混合気はスパークプラグでは点火するのが難しい。燃料が薄いのだから当たり前だ。
そこで目指したのが圧縮着火。ディーゼルエンジンのように、あるいはガソリンエンジンのノッキングのように、混合気を圧縮させて自然に着火させることだ。それが究極の内燃エンジンと言われるHCCI(予混合圧縮自着火)なのだが、問題はうまく望んだタイミングで着火させる制御がきわめて難しいこと。望んだタイミングでだけノッキングを起こすのが困難なのと同じことで、幾多のメーカーが研究してきたHCCIがこれまで実用化されなかったのは、これが理由と言っていい。
スカイアクティブXは、その課題をスパークプラグの火花を使って解決することにした。とは言ってもその火花は混合気を着火させるわけではなく、プラグ先端の周囲に火炎球を作り、これを膨張させる。するとその膨張圧力でまわりの薄い混合気が圧縮され、自着火を起こすというわけだ。着火のコントロールをプラグによる点火タイミングで操れれば、非常に自由度が高まる。圧縮着火の範囲も大きく広がり、効率性を高められるのだ。
スカイアクティブXは直列4気筒2.0Lの直噴ガソリンエンジンに、ルーツ式のスーパーチャージャーを組み合わせているが、これは空気を大量に筒内に送り込むために使われている。更にマツダがM-ハイブリッドと呼ぶ24V電装系を使ったマイルドハイブリッドも搭載。それなりの価格となっているのは、こうした補機類の多さにも依るのだろう。
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