アウディ レースエクスペリエンスに参加。本格的スポーツドライビングを満喫
掲載 更新 carview! 文:山田 弘樹/写真:小林 俊樹
掲載 更新 carview! 文:山田 弘樹/写真:小林 俊樹
1回目の走行を終えたタイムは、2分18秒47。全体では4番手と、いいんだか悪いんだかちょっとよくわからない微妙なタイムだった。ただ言い訳をさせてもらえば、これにはれっきとした理由がある(笑)。ウォームアップランなしのタイムトライアルでは、どうしてもセラミックブレーキがスタンバイしないのだ。
「このくらいなら止まるでしょ!」と余裕を持ったブレーキング。しかし予想以上にすさまじいRS5のダッシュ力を前に、目測は見事なまでに外れた。1コーナーではABSをゴリゴリに効かせながらクリッピングポイントを大幅に通り過ぎ、コースアウト寸前。2コーナーのシケインなどは、パイロンをまとめてなぎ倒すところだったのだ。ちなみにコースアウトしてもパイロンタッチしても、競技は失格になってしまう。
この反省から2回目はちょっとだけ、ない知恵を絞ってみた。まず激しいオーバーステアを抑えるために、上げ気味にしていたリアタイヤの内圧を標準内圧までダウン。併せて可変ダンパーを「コンフォート」へ変更し、ロールスピードを早めることで、タイヤに早く荷重が掛かるようにした。さらにRS5で素晴らしいと感じたのは、スポーツディファレンシャルの制御が変更できたこと。2回の走行経験からこれを「オート」とすることで、必要以上のトラクションを稼がないようにした。ちなみにエンジン/トランスミッションとステアリング(電動パワステの制御)は「ダイナミック」だ。
そしてこの変更は、驚くほどにバッチリ決まった。相変わらずブレーキは止まらなかったが、全てのコーナーをRS5はニュートラルステアでターン。そこからアクセルをジワジワ合わせていくと、極めて美しい姿勢を保って旋回し、最後は4WDの力でモリモリとコーナーを脱出して行ったのだ。息を止め、恐ろしく丁寧に。しかし素早くハンドルを切り、足首に力を込めて繊細な踏力を掛けていく様は、まさにレーシングドライブだった。
通常これだけハイパワーな高額車輌だと、安全を優先してアンダーステア一辺倒なキャラクターにしがちだ。しかしアウディは本気のドライビングに対してしっかりと要求を受け止め、さらにセッティング変更まで許容する懐の深さを見せた。
果たして2回目の走行は2分12秒86をマーク! 大幅にタイムを短縮して、総合2番手のポジションを獲得できた。ただし総合トップとなったのは同じRSクラスのワタナベさん(車輌はRS3)だったので、惜しくもボクは決勝ステージに進出できなかった。その差は僅かに0.11秒差だったから、今回ばかりはアウディのセラミックブレーキを恨んだ(笑)。
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