レトロポップな本格SUV FJクルーザーに試乗!
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:篠原 晃一
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:篠原 晃一
以前、ランドクルーザーのフラッグシップモデルである200系の試乗会に参加したとき、開発者とFJクルーザーの話しをしたことがある。僕が「FJクルーザーのようなクルマを日本に入れないのはもったいない」という趣旨の話をしたところ、意外なことに、彼は「たしかに個性的ではありますが、あのクルマを売るのは正直ちょっと抵抗があるんですよ」という言葉を返してきたのだ。
FJクルーザーのデザインモチーフはFJ40系と呼ばれた初期のランドクルーザーだし、主要メカニズムはランドクルーザー・プラドと共通。そういう意味ではランドクルーザーグループの一員にしか思えない。ところがトヨタの認識はちょっと違っていて、FJクルーザーはあくまで「米国トヨタが企画した、初期型ランドクルーザーのイメージを利用したリバイバルモデル」なのである。実際、FJクルーザーのネーミングにランドクルーザーの文字は含まれていない。
おそらく、トヨタ車のタフネスさを象徴するランドクルーザーは、トヨタ本社内ではクラウンと同じぐらい「神聖不可侵」なモデルなのだろう。その硬派なイメージがFJクルーザーのような遊びグルマによってスポイルされるのを嫌った…これが日本導入をためらっていた理由のひとつといえそうだ。
ではなぜ今のタイミングで導入が決まったのかというと、豊田章男社長の存在を抜きにしては語れない。豊田社長は就任以来、楽しいクルマ、味のあるクルマを作ることが重要だと語り続け、レクサスLFAやFT86といったスポーツモデルの開発を推進してきた。そういう意味でFJクルーザーは間違いなく楽しいモデルだし、豊田社長が米国勤務時代にFJクルーザーの初期企画に携わっていたことも幸運だった。
そして…蓋を開けてみれば、FJクルーザーは1ヶ月で2100台の受注という非常に好調なスタートダッシュに成功。小難しい理屈よりも、エモーションに訴えかけることが重要だということを改めて感じさせてくれた。
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