【軟派なSUVとは別次元】「アウトランダー」と「トライトン」が雪上で見せた“三菱四駆の頼もしさ”の正体とは
掲載 carview! 文:塩見 智/写真:篠原 晃一 35
掲載 carview! 文:塩見 智/写真:篠原 晃一 35
次に「4HLc(ハイギアでセンターデフをロックした状態)」を選ぶ。
直進時の挙動は4Hと同じだが、コーナーの出口で加速する際に頼もしいトラクション能力を味わわせてくれた。センターデフをロックすると前後輪の回転数が同じになるため、厳密には旋回能力が落ちるが、雪上だと内輪がスリップすることで4輪の回転差が相殺され、ステアリングを切った状態で加速してもギクシャクすることはない。
今回のコースではセンターデフオープンのままでも走破できたが、より凹凸の激しい場面などではセンターデフロックが助けになるはずだ。
「4LLc(ローギアでセンターデフをロックした状態)」も試した。ハイギア選択時にはトルク不足で不可能だった、きつい勾配の登坂路での一旦停止後の再発進ができた。ローギアによって大きなトルクを路面にじんわりと伝えることができたからにほかならない。
さまざまな雪上オフロードを走行し、低ミュー路での悪路走破性の高さも確認できた。けれど今回最も感心したのは、トライトンのシャシーフレームの堅牢さだ。
完全に新設計された断面の大きなラダーフレームは路面の凹凸による大きな入力を繰り返し受けても一切へこたれない。巨大な穴凹に車輪を落としたり、ジャンプ台のようになっているところへ勢いよく進入し、前2輪が完全に浮いてからドスンと着地しても、何事もなかったかのようにやり過ごすのには驚かされた。
トライトンはオンロードでの快適性を確保するため、フロントにリジッドアクスルではなく一般的には乗用車向けの独立懸架(ダブルウィッシュボーンサス)を採用するが、サスアームが頑丈で取り付け剛性も高いのだろう、入力を受けた際に大きな音こそすれど、各メディアが酷使し続けても状態が変わることがなかった。
空荷で雪上オフロードを走り回って楽しむのがトライトンの本来の目的ではないが、荷物満載で世界の悪路で酷使されることを想定して開発したクルマだからこそ、遊んでも頼もしく楽しめるのだろう。
(終わり)
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