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新型Sクラス海外試乗 ボディ・安全・燃費性能

ボディの開発コンセプト

新型Sクラスの技術的なハイライトはどこにあるのか。まず重要なのはボディではないだろうか。ロングもショートも、ホイールベースの長さにかかわらず新型Sクラスのボディには3つの開発コンセプトがある。一つは徹底した軽量化だ。スポーツカーのSLで実用化したアルミ中心のコンポジットボディはSクラスにも採用され、フロントのフレームやパネルは完全にアルミ化されている。その結果マイナス100kgの軽量化に成功した。

二つ目の課題は安全性だ。頑丈なキャビンを実現するためにサイドシルやBピラーには超高張力鋼板を多用。Bピラーは部分的に強度差をつけて、側面衝突時のBピラーの変形を最適化することで、乗員の頭部と胸部への加害性を低減した。乗り心地やダイナミクスに影響する捻り剛性は先代モデルよりも1.5倍も向上している。

三つ目は空力デザインだ。コンパクトサルーンのCLAの空気抵抗係数Cd=0.22には及ばないが、Sクラス・ロングボディはCd=0.24(ハイブリッドは0.23)を達成。もちろんクラストップの値だ。ロングテイルはCd値の低減に意外な効果をもたらしているのかもしれない。

Sクラスにとって後席の快適性と安全性は非常に重要だ。とりわけ標準ボディのロングは妥協が許されない。後席はシートベルトのガイドが出っ張っているのでバックルが締めやすく、しかもベルトを装着するとバックルのキャッチが自動的に下がる仕組みだ。これならお腹が大きい会社の重役さんもベルトを締めやすい。この「シートベルト バックルエクステンダー」はなかなか良いアイデアだと思った。

後席はエアバッグがないので、衝突安全性を前席と同じように確保することは意外に難しいという。そこでメルセデス・ベンツの衝突安全開発チームは後席用に「ベルトバッグ」を開発した。衝突を検知するとガス圧で胸の部分のシートベルトが膨らみ、胸部への加害性を低減できる。60才を超えると胸部肋骨の強度が低下するからお年寄りは外傷が増えやすい。

さらにリクライニングしている時の拘束力を高めるために、シートの座面が隆起する「クッションバッグ」も開発した。徹底した安全対策で世界一安全なリムジンとなったことは間違いない。

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