苦戦の要因は“攻め過ぎ”? 登場から5年も色褪せないレクサスLS独自の魅力
掲載 carview! 文:ピーコックブルー/写真:トヨタ自動車 101
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1989年、北米市場でレクサスブランドが立ち上がった時の「目玉」として登場した「LS」は、日本らしい感性を活かした高級車として、現地のユーザーはもちろん、欧米の自動車メーカーにも大きな衝撃を与えました。
なかでも、圧倒的な静粛性と日本車ならではの耐久性は、その後の高級車に新たな価値観を与えたと言われています。
日本国内ではトヨタ「セルシオ」として販売されていたLSですが、2005年のレクサスブランド日本導入以降はLSに一本化されました。
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現行LSは、2017年に登場した5代目(日本国内で正規販売されたものとしては2代目)です。当然、セルシオと比べ至るところで進化していますが、その一方で、LSを取り巻く環境は大きく変化しています。
レクサスのみならず、日本のフラッグシップと言っても過言ではないLS、その現在地はどのようになっているのでしょうか。
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2017年10月に発売を開始した現行のLSは、レクサス自身が「これまでの4ドアセダンとは一線を画す」と称するクーペのようなシルエットを持ち、低く構えたスタイリングや存在感のある大径タイヤがスポーティな走りを予感させるデザインとなっています。
パワートレインには、新開発の3.5L V型6気筒ツインターボエンジンおよび3.5L V型6気筒マルチステージハイブリッドシステムが搭載され、「GA-Lプラットフォーム」との組み合わせにより、優れた走りと高い燃費性能の両立が図られました。
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LSがスポーティセダン路線へと大きく舵を切った背景には、若々しいイメージを与えることで、ブランド全体、そしてLS自身のユーザーの若返りを図りたいというレクサスの狙いがあったと見られます。
一方、高級セダンとしては硬すぎるサスペンションなど、スポーティセダン路線を目指したことによる弊害もありました。
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そのようななか、2020年11月には現行モデルとしては初のマイナーチェンジが施されました。このマイナーチェンジは型式変更を伴わない改良であるにも関わらず、あえて「新型」という表現を用いるなど、過去のイメージを刷新する意図が見て取れます。
改良モデルでは、スポーティセダン路線を改め「静粛性と乗り心地など走りの基本性能の徹底的な作り込み」が行われました。その結果、かつての“LSらしさ”がいくぶん取り戻されたものの、ライバルに対する出遅れ感は否めないのが実情です。
実際、LSは当初期待されていたほどの販売台数を記録することはできず、メイン市場である北米でも、メルセデスベンツ「Sクラス」やBWW「7シリーズ」といった競合モデルに水を開けられてしまっています。
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もちろん、現在のLSには競合モデルにはない魅力も数多くあります。
例えば、日本の匠の技を活かしたインテリアデザインは、レクサスにしかできない世界感を演出しています。また、エッジの効いたシャープなエクステリアデザインは、Sクラスや7シリーズとは明確に異なる存在感を持っています。
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いずれも好みの分かれるところではありますが、世界の高級車市場をリードしてきたドイツ系高級セダンとは一線を画する強烈な個性を持っています。
先代のLSは、どちらかと言えば保守的なデザインであった上、ハイブリッドによる圧倒的な燃費性能を持っていたことなどから、企業や政府関係者などから根強い支持を得ていました。
一方、現在ではそうしたニーズに対しては、多人数乗車が可能で、より居住性の高いトヨタ「アルファード」が採用されることが多くなったほか、様々なブランドが高級SUVをラインナップするようになったことから、高級セダンそのものの需要が低迷しています。
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そうした状況のなかでLSが生き残るためには、好みが分かれたとしても、はっきりとした個性が必要でした。改良前の現行LSは、そうした狙いがやや強すぎたのかもしれません。しかし、それは生き残りを賭けたチャレンジの結果であったと言えます。
一見、レクサスの中で最も保守的なモデルであるように見えるLSですが、そういった意味では、かなりチャレンジングなモデルです。であるからこそ、現行のLSは良くも悪くも個性的な1台に仕上げられています。
LSの購入を考えているユーザーは、個性的な部分をしっかりと理解したうえで「LSでなければならない理由」があるかどうか、明確な意志を持って検討することが重要です。
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