クラウンプロトタイプ試乗 3つのパワートレーン、その走りは?
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:篠原 晃一
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:篠原 晃一
内外装の仕上がりは総じて上々だが、最も気になるのはその乗り味だろう。新型クラウンには3つの動力源が用意されている。最もスポーツ色強い乗り味の仕上げが施されていた2リッターターボと、万能的な2.5リッター+モーターのハイブリッド、そしてマジェスタオーナーも意識して作り上げたという3.5リッター+モーターのハイブリッド。全ての動力源には、ノーマルタイプとスポーツ性を強めた「RS」が用意されている。
※編集部注:6月8日公開時点でグレードなどの詳細は発表されていないため、ノーマルタイプという表現を使っています。ノーマルタイプはこれまでの「ロイヤル」や「マジェスタ」のようなイメージで「RS」はアスリートのようなイメージです。
日本のセダン市場の行方に影響を及ぼすはずの新型クラウンなだけに、期待と不安が入り混じった妙な緊張感を抱きつつ、2.5リッター+ハイブリッドのノーマルモデルで走り出す。最も万能で優等生仕上げの基準車的なポジショニングのモデルだが、ファーストコンタクトはとても良い! 日本専用車でありながらも世界で戦えるクルマとして、その完成度で世界を驚かせたいという想いから、ドイツのニュルブルクリンク北コースで走りを鍛えたという新規TNGAプラットフォームなだけあり、ボディがしっかりしていて無駄な振動を発生せず、足回りではダンパーが効果的に微振動を減衰させている。この転がり感の質は先代ロイヤルサルーンの上質さを大きく超え、今時点でトヨタグループの全ブランドを踏まえてトップの出来栄えと感じる。ちなみにこのFRプラットフォームは、レクサスのフラッグシップであるLSに使用されたものの車幅を、日本専用のクラウンに合わせてナロータイプにした弟分のようなものだが、後出しな分だけ洗練された印象があり、振動特性など素性が良い気がした。
驚いたのはこのような快適性や上質さを持ちながら、気持ちよく曲がること。ハンドル操作への遅れもなく手応えの変化が的確で、リアタイヤの接地感もあり、車両の姿勢変化は穏やかで節度感を備え、プレミアムブランド系の輸入車勢とも比べられる素直なハンドリング特性を持つ。この上質さとスポーツ性が全てのクラウンに共通する乗り味。2.5リッター+ハイブリッドのノーマルモデルにおいて気になるとすれば、うねり路面を乗り越えた先に若干ではあるがフワッとする動きがあることと、旋回時に内輪の伸びが大きくハンドルの切り返しで気を使わないとグラッとしやすいこと。足回りに電子制御ダンパーがつき、タイヤも1インチ大きくなるRSではこの特性さえなくなり、その上で快適性を損なっておらず、その完成度は拍手喝采したいレベル。冷静に考えたらまるでスポーツカーにでも乗ったような細かいレポートを書いてしまうほど、新型クラウンの走りは大幅に進化したのだと改めて感じさせる。
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