クラウンプロトタイプ試乗 3つのパワートレーン、その走りは?
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:篠原 晃一
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:篠原 晃一
ちなみに2.5リッター+ハイブリッドの動力性能は必要十分であり、2リッターターボの排気音や吹け上がりや3.5リッター+ハイブリッドの強烈加速のような刺激こそないが、その出来栄えは優等生。アクセル操作への反応は、モーターのレスポンスの良さを要所で使いながら的確に応じてくれるし、低速時は当然エンジンが掛からず静かに電動ドライブして新プラットフォームでの上質さを強調する。さらにアクセルを深く踏んだ時にこの2.5リッター+ハイブリッドは思いのほか鋭く力強く加速する。ハイパワーモデルとして3.5リッター+ハイブリッドがあるので2.5リッター+ハイブリッドはいい子ちゃん仕上げだろうとイメージしていたのだが、冷静に考えたらこれでも3.5リッターガソリンエンジン並みの性能を出しているのだ。後に乗る3.5リッター+ハイブリッドへの期待が高まっていった。
走りを最も意識して仕上げたという2リッターターボに乗ったとき、ある想いが浮かんだ! このシャーシでハイパフォーマンスモデルを作ってもらいたいと。そんな考えが自然と出るほど、このプラットフォームの実力は高い。具体的に言うと、まず旋回力が意のまま。動力源としてこの2リッターターボユニットが他よりも軽いこともあり、他の動力源が持っている素直な旋回特性に、軽快感が備わる。これがより意のままに動く感覚ももたらし、走っていて楽しくなってくるのだ。個人的にはもう少しリアのロール剛性を落としてアクセルを深く踏まなくても旋回中にリアに荷重が掛けられるバランスが好きだが、こんな細かい要望を抱けるレベルにこのプラットフォームはある。こう書くとガチガチに足が硬い?とイメージするかもしれないが、ノーマルおよびRSにも共通することで、足回りはしなやかで、旋回中に外輪に荷重がかかっていてもまだ路面のギャップを吸収して乱れない余裕を残しているし、乗り心地も良く、特にRSにおいては見事なまでのしっとり感まで持つ。聞くと2リッターターボのRSだけは、スタビライザーなど姿勢変化を抑制するアイテムも他のRSより強化しているそうだが、それに伴って大きくなりやすい走行振動対策のためにパフォーマンスダンンパーを装着してそれを解消しているという。
ちなみに2リッターターボエンジンは、アクセル操作に対するレスポンス、高回転の伸び感、そしてスポーツ+モードにした際の快音などもあって特に走りが気持ち良く、加えてスムーズな変速まで備えた新型8ATが、しっとり感まで味わわせてくれることを付け加えておこう。強いて気になる要素を挙げるとすれば、エンジン低回転時のトルクが若干か細く感じること。世の優れたターボエンジンはもっと低回転から力があふれ、再加速でのキックダウンが抑えられるなど扱いやすさも備えている。クラウンの2リッターはややシフト変速が忙しいか、力が足りない感覚を抱いた。
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