クアトロポルテの入門グレードに試乗。マセラティが進めるブランド改革とは?
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:篠原 晃一
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マセラティが設計し、フェラーリの工場で生産される3L V6ターボは、言ってみれば「S」のデチューン版だが、僕としてはなんの不足も感じなかった。むしろ、これだけ走ってくれれば十分すぎると感じた。0-100km/h加速5.6秒、最高速度263km/hというスペックを持ち出せば、きっと納得してもらえるだろう。もちろん、パワーなんてものは追い求めていけばキリがない。330psより410ps、410psより530ps……となりがちだが、少なくとも高速道路を含めた一般道で試乗した限り、330psでも生粋のスポーツサルーンであるクアトロポルテの魅力を存分に味わうことができた。
そんな印象を強めているのが、気持ちのいいサウンドとレスポンス、そしてタイトな味付けのZF社製8速ATだ。かつてのフェラーリ製V8自然吸気と比べると回していったときの麻薬度は低下したものの、3L V6ターボは低中回転域から分厚いトルクを発生するため街中でも本当に扱いやすい。ボディの大きささえ許容してくれるなら、奥様にキーを渡しても苦情を言われることはないだろう。
それでいて、トルコンのスリップを限りなく抑え込んだATは、アクセルペダルに乗せた右足と後輪が直結しているかのようなダイレクト感を味わわせてくれる。そして、いざ回していけば乾いたサウンドをきっちりと奏でてくれるのだ。
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