マツダ3、スカイアクティブXの価値は数値的なものより唯一無二のフィーリング
掲載 更新 carview! 文:島下 泰久/写真:菊池 貴之 369
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さて、ようやく試乗である。この日はAT、そしてMTの両方を試すことができた。まず乗り込んだのはAT仕様だ。
スタートボタンを押すとエンジンは苦もなく目覚め、独特の乾いたサウンドを発しながら安定したアイドリングを刻む。15.0:1という高い圧縮比のわりに静かなのは、エンジンをカプセル化しているから。これは騒音の抑制だけでなく、保温にも繋がっている。エンジンを停止したあともしばらく暖気が残っているから、数時間経った後でも、すぐに理想的な運転状態に入れるのである。
クルマを発進させると、まずはアクセル操作に対するトルクの立ち上がり、ツキがとても良いのを実感する。右足の動きに対してスッと力が得られタイムラグ無しにクルマが前に進む感じ、とでも言えばいいだろうか。
その先の加速も、やはり踏み込みに対してリニアに力が出てきて、なめらかに速度が上がっていく。敢えて比較するならば、2.0Lガソリンのように平板ではなく、もっとレスポンスが良いし、1.8Lディーゼルの過給による後押しとは違って、もっと自然。回転上昇に伴う伸び感、それに追従する乾いたサウンドも心地よい。
続いてMTに乗り換える。カチッとしたタッチのシフトレバーを1速に入れてクラッチを繋ぐと、発進はきわめてスムーズ。低回転域からトルクが速やかに立ち上がり、その先のレスポンスもダイレクトで、意のままになる感覚は更に強い。
伸びやかなサウンドを耳にしながら更に踏み込んでいくと、トップエンドは6500rpmまでしっかり回る。また、加速時だけでなくアクセルオフした時の反応も良くリズミカルに走れるから、自然とペースが上がってしまう。
この走りには、エンジン単体の実力に加えて実はM-ハイブリッドも貢献している。バッテリー容量は1kWhにも満たず、電気モーターのアウトプットも6.5ps、61Nmでしかないから「本当に電気モーター付いてるの?」というくらい存在感は薄いが、実際は発進時にはエンジン回転数を素早く持ち上げ、シフトアップの際には発電制御によって逆に回転数を素早く下げ、更に変速の前後の躍度を整えるなど、きめ細やかな制御で気持ち良い走りを下支えしているのだ。
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