【検討中の方必見】新型セレナの各グレードを徹底分析! ガチでおすすめしたいのは?
掲載 更新 carview! 文:伊達軍曹/写真:日産自動車 78
掲載 更新 carview! 文:伊達軍曹/写真:日産自動車 78
2022年11月に発表された6代目の日産「セレナ」は、「実用性」と「走る楽しさ」を両立させたい人であればぜひ注目したい5ナンバー級の3列シートミニバン。ここでは、「そんなセレナのおすすめグレードは何か?」という点を中心に話を進めてまいります。
まずは現行型(6代目)セレナの基本情報から。
現行型セレナは、従来からの基本コンセプトである「BIG」「EASY」「FUN」という要素をよりいっそう突き詰めた一台。ボディサイズは全長4695mm×全幅1695mm×全高1870mmという5ナンバー枠に収まる数値で(※一部グレードを除く)、パワーユニットは「e-POWER」と呼ばれるハイブリッドシステムと、2L直列4気筒ガソリンエンジンの2種類。
第2世代となったe-POWERは、従来型より出力が16%アップし、静粛性と燃費も向上した1.4Lの専用エンジンを新たに採用。このエンジンが発電を担当し、従来型より出力が20%向上したモーターが車を駆動させます。もろもろの制御や遮音に関する技術も最新・最先端のものに変更されたため、新型セレナ e-POWERはきわめて静かでなめらかな走りを実現させています。

今回のモデルチェンジでは、プラットフォーム(基本となる車台)が刷新されたわけではありません。しかし前述したe-POWERの制御に加えてサスペンションやステアリング、シートのつくり等々のすべてが大幅かつ地道にブラッシュアップされたため、なんといいますか「老舗料理店に昔から伝わる秘伝のタレが、今回さらに美味くなった」みたいなニュアンスで、素晴らしい乗り味を堪能することができます。
またこの「秘伝のタレが云々」というのは走りだけでなく、ミニバンの本懐である車内の広さや使い勝手についても同様です。もともと5ナンバーミニバンとしては車内をきわめて広く・便利に使えたセレナでしたが、新型は細かな改良を積み重ねることで、よりいっそう「家族で快適に使える一台」に仕上がっているのです。

そんなセレナのグレード構成は、おおむね下記のとおりとなっています。
まずはパワーユニット別で「e-POWER」と「ガソリン車」に大きく分かれるわけですが、それぞれの中に3種類のグレードが存在しています(※e-POWERにだけは最上級グレード「LUXION(ルキシオン)」が存在するため、e-POWERには4種類のグレードが存在します)。
そしてその3種類とは、以下のとおりです。
パワーユニットや基本的な安全装備は他のグレードと同じですが、豪華装備や便利装備、装着可能なオプション装備などを一部省略することで価格を抑えているのが、「X」または「e-POWER X」です。
いくつかの装備が省略または簡素化されているXですが、そのなかでも特に気になりそうな装備は下記のものでしょうか。
・USB電源ソケットはフロントの2個のみ(他のグレードは2列目、3列目にも2個ずつあり)。
・「ハンズフリーオートスライドドア」が標準ではなく、オプションで付ける場合も助手席側のみとなる。
・プロパイロットは標準だが、オプションで「ナビリンク機能付」を選ぶことができない。
・2列目、3列目の「パーソナルテーブル」がない。
もしもこのあたりがさほど気にならないなら、比較的安価なXも悪くない選択でしょう。それぞれのプライスは下記のとおりです。
X(2WD)|276万8700円
X(4WD)|303万4900円
e-POWER X(2WD)|319万8800円
Xと同様、パワーユニットや基本的な安全装備は他のグレードと同じですが、豪華装備や便利装備、装着可能なオプション装備などは充実している好バランスな中間グレードが、「XV」または「e-POWER XV」です。
標準またはオプション装備の主な特徴は下記のとおりです。
・2列目、3列目の左右には「パーソナルテーブル」を標準装備
・2列目、3列目にもUSB電源ソケットを標準装備
・「ハンズフリーオートスライドドア(両側)」が標準装備
・オプションで「プロパイロット(ナビリンク機能付)」を装着可能
・オプションで16インチアルミホイールを装着可能

ゴテゴテしていない標準ボディがお好みの人にはおすすめできる、装備類がまずまず充実した好バランスなグレードといえます。それぞれのプライスは下記のとおりです。
XV(2WD)|308万8800円
XV(防水シート車)(2WD)|313万2800円
XV(4WD)|335万5000円
XV(防水シート車)(4WD)|339万9000円
e-POWER XV(2WD)|349万9100円
e-POWER XV(防水シート車)(2WD)|354万3100円
パワーユニットや基本的な安全装備は他のグレードと同じですが、豪華装備や便利装備、装着可能なオプション装備などを充実させつつ、なおかつちょっとスポーティな専用エクステリアを採用しているグレードが、こちらの「ハイウェイスターV」または「e-POWERハイウェイスターV」です。
中間グレードであるXVとの主な違いは下記のとおりとなります。
・内装の木目調フィニッシャーがブラックではなく「ブラウン木目柄」
・シート地はジャガード織物/トリコット(撥水加工)&合皮コンビ
・ハイウェイスター専用外装
・専用16インチアルミホイールを標準装備
・LEDイルミとアクセサリーを追加するディーラーOPの「フロントダイナミックパック」を選択可能

スポーティで装備も充実している、現時点で一番人気のグレードです。そしてそれぞれの車両価格は下記のとおりです。
ハイウェイスターV(2WD)|326万9200円
ハイウェイスターV(防水シート車)(2WD)|331万3200円
ハイウェイスターV(4WD)|353万5400円
ハイウェイスターV(防水シート車)(4WD)|357万9400円
e-POWER ハイウェイスターV(2WD)|368万6100円
e-POWER ハイウェイスターV(防水シート車)(2WD)|373万100円
新型セレナの最上級グレードですが、2Lガソリンエンジン車にはラインナップされておらず、パワーユニットはe-POWERのみとなります。LUXIONの装備面などにおける特徴は下記のとおりです。
・他のグレードは8人乗りだが、LUXIONは2列目キャプテンシートの7人乗り
・シート地は合皮
・内装の木目調フィニッシャーは「ブラック木目柄」
・「アンビエントライト」を標準装備
・LUXION専用外装
・専用16インチアルミホイールを標準装備
・「プロパイロット2.0」を標準装備

LUXIONの特徴として一番大きいのはプロパイロット2.0が標準装備されるということと、2列目がキャプテンシートになるということでしょう。ラグジュアリーな世界観を求める人におすすめとなるグレードです。そしてその車両価格は下記のとおりです。
e-POWER LUXION(2WD)|479万8200円
これらのほかに「AUTECH」と「e-POWER AUTECH」という純正のカスタム車があるのですが、今回はスペースの関係で割愛させていただきます。

新型セレナのグレードを選ぶ際には、まず「e-POWERにするか、それともガソリンエンジンにするか?」ということを決めなければならないわけですが、ここはやはり「e-POWERがおすすめである」ということになるでしょう。
セレナの場合、e-POWERとガソリン車とでは車両価格に約41万円の開きがありますが(XV・FFの場合)、第2世代e-POWERの静かさと力強さ、そしてなめらかな加速感は、約41万円のエクストラマネーを投じてでも手に入れる価値があると考えます。軽快な2Lガソリンエンジンも決して悪くはないのですが、第2世代e-POWERを体感した後では、どうしても物足りなさを感じてしまうものです。
約41万円というのは決して安いお金ではありませんが、もしも5年間乗るとしたら、1カ月あたり約6830円の差でしかありません。もちろん無理強いはしませんが、せっかくですからe-POWERを選んだほうが「総合的な満足度」は確実にアップするでしょう。

そしてそのうえで「ベーシックなXか、中間のXVか、はたまたハイウェイスターVかLUXIONか?」という問題が浮上してきます。
これについては、「装備がやや貧弱なX以外であればどれでもいい(要は好みと予算次第)」というのが正直な答えとなりますが、もう少し客観的に考えるなら、まずは「最上級の LUXIONは無理に狙わなくてもいいのでは?」となります。
LUXIONの特徴は各種装備が充実していることではありますが、それ以上に「プロパイロット2.0が標準装備である(そして他のグレードはプロパイロット2.0を装着できない)」という点こそが、LUXIONの最大の特徴でしょう。
プロパイロット2.0とは要するにハンズオフ運転(手放し運転)ができるというシステムです。筆者も実際に試乗しましたが、渋滞時だけでなく120km/hで走っている際にも手放し運転ができるというのは、確かに非常に便利で快適なものではありました。

しかしe-POWERハイウェイスターVより110万円以上高いお金を出してまで、自分は手放し運転をしたいのか? と自問してみると、答えは微妙でした。もしも「30万円ぐらいの価格差」であったなら、筆者も問答無用でプロパイロット2.0を選びたいと思います。しかし約110万円差ともなると、さすがに日和ってしまうわけです。
もちろんこのあたりの感じ方や予算感は人それぞれなわけですが、筆者個人としては、装備がまずまず充実している「e-POWERハイウェイスターV」を選択し、そこにメーカーオプションとしてナビリンク機能付きのプロパイロットを付けるのが得策であると考えます。
全車に標準装備される通常のプロパイロットでも十分なのですが、ナビリンク機能付きであれば、走行中に道路の制限速度が変わった場合でも自動的に設定車速に反映され、カーブに合わせて車速を調整してくれます。このあたりのちょっとしたことが、実際にADAS(先進運転システム)を使ううえではけっこう重要なのです。
ちなみにe-POWERハイウェイスターVではなく「e-POWER XVにナビリンク機能付きのプロパイロットを付ける」というのも悪くありません。しかしながら市場で人気が高いのはe-POWERハイウェイスターVですので、セコい話ですが数年後のリセール価格を考えると、おそらくはe-POWER XVよりもe-POWERハイウェイスターVを選んだほうが有利ではあるでしょう。

セレナのライバルとなるのは、トヨタの同クラス車である「ノア」または「ヴォクシー」と、ホンダの「ステップワゴン」です。いずれの5ナンバー級ミニバンもなかなかの出来であり、特にノアとヴォクシーのFFハイブリッド車はWLTCモード燃費23.0~23.4km/Lと、このクラスではナンバーワンの燃費性能を誇ります。「とにかく燃費を重視したい」ということであれば、選ぶべきはセレナではなくノアかヴォクシーのハイブリッド車でしょう。
>>トヨタ ノアの詳細はこちら
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>>トヨタ ヴォクシーの詳細はこちら
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いっぽうのステップワゴンのe:HEV(ハイブリッド車)は、ノア/ヴォクシーのハイブリッド車ほどではありませんが、WLTCモード燃費は19.5~20.0km/Lとまずまずであり、特に「AIR」のシンプルでクリーンなデザインは唯一無二の魅力があります。また3列目シートの収納方法はセレナやノア/ヴォクシーのような左右への跳ね上げ式ではなく床下へ収容する方式ですので、荷室を広く使うことが可能です。このあたりを重要視したいなら、選ぶべきはステップワゴンまたはステップワゴン スパーダです。
>>ホンダ ステップワゴンの詳細はこちら
>>ホンダ ステップワゴンスパーダの詳細はこちら
しかしながら、このたび登場した新型セレナは――特にそのe-POWERモデルは、これらライバルを圧倒的にぶっちぎるほどではないにせよ、優位点は多いように思えます。
まずはe-POWERシステムによる活発でスムーズな動力性能と、「秘伝のタレ」を改善し尽くしたシャシー関係によって生まれる走りの良さは、ライバルを0.5歩ほど上回っており、それでいて車内や荷室の広さはクラストップレベル。燃費は、さすがにノア/ヴォクシーのハイブリッド車にはかないませんが、それでもWLTCモードで18.4~20.6km/Lと、決して悪くはありません。そして「そこにかなりしゃれた内外装が加わっている」というのが、新型セレナ e-POWERの持ち味です。つまりは5ナンバー級ミニバンとしての“総合力”が高いのです。
とはいえ、このクラスのミニバンというのは各社が真剣にしのぎを削って開発していますので、先ほど申し上げたとおり「セレナがぶっちぎり!」というわけではありません。それぞれのモデルに、それぞれの良さがあります。
しかしそれでも、もしもあなたがセレナe-POWERのデザインや使い勝手、走行性能の噂などが気になっていて、そして「買おうかな、どうしようかな?」と迷っているのであれば――悪いことは言いませんから、買っちゃいましょう。特に、家族を愛すると同時に「走ること」も愛している人には、新型セレナe-POWERは本当におすすめできる5ナンバー級のマルチパーパスビークルです。
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