新型アウトランダーPHEVに乗った! 走りも快適性も先進性も力作、課題はクリープ!?
掲載 carview! 文:塩見 智/写真:小林 俊樹 79
掲載 carview! 文:塩見 智/写真:小林 俊樹 79
三菱自動車が得意とする電動化技術と四輪制御技術を一台に凝縮したフラッグシップの「アウトランダーPHEV」がモデルチェンジし、12月16日に発売される。発売を前に最終プロトタイプに試乗した。力強く、よく曲がり、快適な力作で、“欲しくなるPHV”に仕上がっていた。
2016年、日産自動車が三菱自動車の株式の34%を取得し、ルノー日産三菱グループが誕生した。グループが立てた戦略にのっとって、三菱「アウトランダー」と日産「エクストレイル」は車台を共有することになった。つまり来年出てくるエクストレイルはアウトランダーPHEVの兄弟車だ。ただしあちらは得意のe-POWERを採用してくるはず。
フロントマスクは三菱が「ダイナミックシールド」と呼ぶ例のデザインだ。「X」の文字を縦に割って間にグリルを挟み、両脇に独立したヘッドランプを配置する大胆な顔つきは、これまでにもデリカD:5、eKシリーズ、エクプリスクロスなどに採用されてきた。当初ギョッとさせられたこの顔も、時間がたって見慣れてきた。デザイナーもよりうまく使いこなせるようになってきたのだろう。これまででもっともしっくりきている。
全長4710mm、全幅1860mm、全高1745mm、ホイールベース2705mmと、現行型に比べ大きくなった。フロント、サイド、リアを通して水平基調のデザインが貫かれているせいか、実際以上に長く、ワイドに見え、安定感がある。サイズ拡大は室内空間拡大に活かされていて、乗り込んですぐに、あ、広いと実感する。具体的には前席左右の間隔が25mm、2列目席膝前が28mm、それぞれ拡大しているほか、トランク容量も増えた。
インパネデザインも水平基調だ。センターディスプレイをダッシュボードに埋め込むのではなく、独立したタブレットを立てかけるように配置する最近多いパターンが採用された。シート素材はグレードによって、レザー(2種類)、人工皮革、ファブリックから選べる。運転席の視界は良好で、ドライビングポジションも自然。前席シートやステアリングホイールの前後、上下の調整代が広がったため、体格を問わずだれでも好みのポジションを得られるはずだ。
2.4リッター直4エンジンをフロントに横置きし、駆動用バッテリーをアンダーフロアに敷き詰め、前後それぞれの車軸にモーターを配置するレイアウトは現行型と同じ。だが各部の性能が向上した。バッテリー容量は13.8kWhから20kWhに増大。これによりEV走行可能距離が65kmから83~87km(装着タイヤによる)に伸びた。燃費は16.4km/Lから16.2~16.6km/L(同)と横ばいだが、ガソリンタンク容量が45Lから56Lに拡大したため、クルマ全体としての航続距離は伸びた。
ただバッテリー容量拡大は、EV走行距離および燃費向上のためというよりも、電圧を300Vから350Vに高めたことと合わせて、モーター出力の向上に対応すべくバッテリー自体の出力を高めるのが狙いだ。新型はフロントモーターの最高出力が60kWから85kWへ、リアモーターのそれが70kWから100 kWへと向上した。
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