新型アウトランダーPHEVに乗った! 走りも快適性も先進性も力作、課題はクリープ!?
掲載 carview! 文:塩見 智/写真:小林 俊樹 79
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これによって現行型とは段違いの加速力を味わうことができるようになった。発進加速から中間加速まで、どんな速度域からでもアクセルペダルを踏めば背中を押されるような加速が手に入る。モーター駆動車特有の変速による途切れのない加速が心地よい。バッテリーの容量が拡大したことで、これまでよりさらにエンジン始動の頻度と時間が減った。電力残量に余裕があれば、アクセルを全開にするといった高負荷をかけない限りエンジンは始動しない。
アウトランダーPHEVにはイノベーティブペダルオペレーションモードが備わる。いわゆるワンペダルドライビングが可能となるモードで、アクセルペダルを戻すだけで強い減速が得られる。微妙な加減速を繰り返す場面で、右足をアクセルとブレーキの間で行ったり来たりさせる頻度を減らすことができる。これが実にコントローラブルで、運転が楽になる。サーキットで、タイヤのグリップ力の限界を右足で探りながらコーナリングする際に、実に頼もしい装備となった。雪道でも重宝するはずだ。ただ通常のAT車と同じ挙動とするため、アクセルペダルを完全に戻しても車両は完全停止せず、クリープ状態に移行する。これは残念。完全に止まってくれたほうがコントロールしやすいと思うのだが……。
三菱自動車には歴代のランサーエボリューションで培った4WD技術の蓄積があり、それらは電動車用に最適化されたうえで新型アウトランダーPHEVにも惜しみなく投入された。状況に応じて前後の駆動力配分を最適化するのはもちろん、ブレーキ制御によってコーナーを曲がりやすくするAYC(アクティブ・ヨー・コントロール)も備わる。現行型のAYCが前輪のブレーキ制御だったのに対し、新型では後輪も制御するようになり、より大きな効果を発揮するようになった。試乗コースはサーキットだったため、ハイスピードでコーナーを曲がってみたが、アンダーステアを感じさせず、ステアリングを切れば切っただけグイグイとクルマが内側を向いてくれるのはAYCあればこそ。不自然なほどよく曲がる。速く曲がるためだけのものではなく、滑りやすい路面でタイヤのグリップ力の範囲内で最大限の曲がりやすさを発揮し、ドライバーの不安を低減してくれるはずだ。
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