スバル WRX S4には「アレ」が付いていたほうがいい!? STI Sport R系をおすすめしたい理由とは
掲載 更新 carview! 文:伊達軍曹/写真:SUBARU 127
掲載 更新 carview! 文:伊達軍曹/写真:SUBARU 127
目次
現行型スバル「WRX S4」は、2021年11月に発売されたスバルのスポーツセダンです。
WRXというのは、もともとは初代スバル「インプレッサ」に用意されたひとつのグレードで、その競技用バージョンは世界ラリー選手権で大活躍しました。しかし3代目インプレッサの後期型からインプレッサの名前が外れてスバル「WRX STI」という車名に変わり、2014年に発売されたVA系と呼ばれる世代からは、名実ともにインプレッサから独立した車種になっています。
そのスバル WRXは、EJ20というエンジンにマニュアルトランスミッションを組み合わせた「WRX STI(※販売終了)」と、FA20またはFA24というエンジンにオートマチックトランスミッション(CVT)を合わせた「WRX S4」の2系統に分かれていて、今回ご紹介するのは後者「WRX S4」の最新世代です。
スバル WRX S4
現行型WRX S4の車体骨格は、同じくスバルのスポーツワゴンである現行型「レヴォーグ」と同じ「フルインナーフレーム構造のスバルグローバルプラットフォーム」というもの。ボディサイズは全長4670mm×全幅1825mm×全高1465mmで、従来型と比べて全長と全幅は若干拡大されましたが、全高は10mm低くなっています。
サスペンション型式はフロントがストラットでリアがダブルウイッシュボーンと従来型を踏襲していますが、その取り付け位置などはあらためて最適化され、接地性や走行安定性はさらに向上しています。また上級グレードである「STI Sport R」および「STI Sport R EX」にはZF製の電子制御ダンパーと、その特性を任意に変更できる「ドライブモードセレクト」が装備されているのも特徴です。
搭載エンジンは従来型から排気量を400ccアップした2.4L 水平対向4気筒直噴ターボで、最高出力275ps/5600rpmと最大トルク375Nm/ 2000~4800rpmを発生。トランスミッションは従来型と同じくCVTではありますが、従来の「スポーツリニアトロニック」よりも動的質感を飛躍的に高めた8速マニュアルモード付き「スバルパフォーマンストランスミッション(SPT)」に刷新されています。
このSPTは、SまたはS#モード選択時には「ほぼ8速AT」と呼べるものに変わり、エンジンとの協調制御を最適化した「スポーツ変速制御」も採用。アクセルやブレーキの操作からドライバーの意思を読み取り、トルク制御やブリッピングを駆使してシフトアップ&ダウンを行うことで、デュアルクラッチトランスミッション(DCT)に負けない変速速度と、キレのある変速感覚を実現しているのです。
スバル WRX S4
駆動方式は、スバルのスポーツセダンなので当然フルタイム4WDではありますが、現在販売されているスバル車のほとんどが「アクティブトルクスプリットAWD」という前60:後40のトルク配分を基本に、走行状態に合わせてリアルタイムにトルク配分をコントロールするシステムを採用しているのに対し、WRX S4は「VTD-AWD」というシステムを採用しています。
これはセンターデフによってトルクを前45:後55に不等配分することでコーナーでのスムーズなハンドリングを実現し、走行状況に合わせてトルク配分を連続可変制御するという、積極的でスポーティな走りを可能にする4WDシステム。WRX S4はこれに3モードのVDC(ビークルダイナミクスコントロール)も加えることで、より「楽しく曲がる」ことが可能になっています。
スバル WRX S4
WRX S4のエクステリアデザインはスバルのコンセプトカー「ヴィジブ パフォーマンス コンセプト」を極力忠実に再現したもので、ホイールアーチや車体下部の黒い樹脂パーツで大胆にブラックアウトさせている点が印象的です。
インテリアデザインは現行型レヴォーグとおおむね共通で、12.3インチのフル液晶メーターと縦型11.6インチのセンターインフォメーションディスプレイがその特徴。「STI Sport R」と「STI Sport R EX」では、表皮にウルトラスエードを採用したレカロ製のフロントシートをメーカーオプションとして装着することもできます。
そしてWRX S4は当然ながら(?)先進安全装備も大いに充実しています。
スバル自慢の「アイサイト」の最新世代が全車に標準装備され、高精度マップを活用した渋滞時ハンズオフアシストや渋滞時発進アシスト、アクティブレーンチェンジアシスト、カーブ前速度制御、料金所前速度制御、ドライバー異常時対応システムなどを盛り込んだ「アイサイトX」も、「GT-H EX」と「STI Sport R EX」には標準搭載されています。
スバル WRX S4のインテリア
現在販売されているWRX S4のグレードラインナップと、それぞれの価格は以下のとおりです。
GT-H | 400万4000円 |
---|---|
GT-H EX | 438万9000円 |
STI Sport R | 438万9000円 |
STI Sport R EX | 477万4000円 |
上記のように書くと、まるで「WRX S4は4種類のグレードに分かれている」ようにも見えます。しかし実質的には、WRX S4のグレードはベーシックな(といっても装備は普通以上に充実している)「GT-H」と、上級スポーティグレードである「STI Sport R」の2種類でしかなく、それぞれに前述したアイサイトXを付けると、車名の末尾に「EX」という文字が付く――と整理するのが正解です。
GT-HとSTI Sport Rはまったく同じ2.4Lターボエンジンを搭載していますが、その他の部分では、主には以下のような違いがあります。
STI Sport Rのレッドリング照明+STIロゴ入りフル液晶メーター
フル液晶メーターの照明が「ホワイトリングかレッドリングか?」なんてあたりはどうでもいいとして(※どうでもよくない人もいるでしょうが)、上記のなかでもっとも重要なのは「ZF製電子制御ダンパーとドライブモードセレクトの有無」です。
これがあるとないとでは、WRX S4という車の印象と満足度は大きく変わります。結論から申し上げれば、ZF製電子制御ダンパーとドライブモードセレクトは絶対的にあったほうが大満足できる装備ですので、「おすすめグレード」は自動的にSTI Sport RまたはそれにアイサイトXが付いたSTI Sport R EXということになります。
WRX S4という車を、「快適で安楽なセダン」としても「超硬派な4WDスポーツセダン」としても使い分けることが可能になるのが「ZF製電子制御ダンパー+ドライブモードセレクト」という組み合わせです。その使い方は人それぞれですが、筆者が「一番いいな」と思ったのは、「ドライブモードセレクトを『インディビデュアル(自分好みの組み合わせが作れるモード)』にして、サスペンションだけを『Comfort』にし、他すべてをもっともスポーティな状態にする」というセッティングです。素晴らしく甘美でスポーティな乗り味になりますので、ぜひお試しください。
スバル WRX S4
そしてSTI Sport Rを選んだうえで、アイサイトXを付けるかどうか、つまりグレード名的には「STI Sport R EX」を選ぶかどうか? というのはなかなか難しい問題です。
アイサイトXが持つ機能のなかで「アクティブレーンチェンジアシスト(高速道路上でウインカーを出すと勝手に車線変更してくれる機能)」と「料金所前速度制御」は、個人的には割とどうでもいいと感じています。
しかし、一定の条件下で手放し運転が可能になる「渋滞時ハンズオフアシスト」と「渋滞時発進アシスト」は、高速道路での渋滞中に疲れてしまったときや退屈してしまったときなどには素晴らしい威力を発揮します。
とはいえ「EX」になると車両価格がいきなり約39万円も高くなりますので、「むむむ……」と躊躇してしまう部分もあるわけです。
これについての結論を申し上げますと、高速道路を使う機会が多い人は、約39万円高くなったとしてもSTI Sport R EXを選んだほうがいいでしょう。そして高速道路を使う機会が比較的少ないのであれば、ぶっちゃけアイサイトXが付かないSTI Sport Rで普通に十分です。
スバル WRX S4
WRX S4のライバルとなる存在は、ズバリBMW「3シリーズ」とメルセデス・ベンツ「Cクラス」、アウディ「A4」でしょう。つまり「ドイツ御三家」と呼ばれているDセグメントの人気ドイツ車です。
ひと言でドイツ御三家といってもそれぞれ個性や性能は異なりますし、例えば同じ3シリーズのなかにもさまざまなグレードが存在しますので、個別の話をするとキリがなくなります。
しかし物事の概略として言うのであれば、まずは「ステイタス性」みたいな部分を重視したい人は、WRX S4ではなく「ドイツ御三家のいずれか」を選んだほうがいいでしょう。WRX S4の諸性能がどれだけ高かったとしても、「ビーエム」や「ベンツ」「AUDI」といった語感が持つインパクトというか、世間体の良さみたいなものには正直なかなか勝てないものです。
スバル WRX S4
また「とにかくガッシリとした重厚感のある車が好きだ」という人も、WRX S4ではなく、おそらくはドイツ御三家を選んだほうが満足度は上がるはずです。さらに――これは人それぞれの主観と好みが大いに関係してしまう部分ですが――デザインの美しさやインテリアの質感の高さといった面でも、ドイツ御三家に分があるように思えます。
以上の各ポイント、つまり「ステイタス性」「重厚感」「デザイン性」を何よりも重視したい場合のおすすめは、WRX S4ではなく3シリーズもしくはCクラス、あるいはA4ということになります。
しかしWRX S4は、それら御三家とほぼ同等の性能を、いや場合によっては完全に上回るほどの性能と乗り味を、ドイツ御三家よりも軽く100万円以上は安い予算で入手できるという、なんともgood dealな(和製英語で言うところの“コストパフォーマンスがいい”)選択肢です。
ご検討中の方は、そのまま迷わず最終契約まで突き進むべきでしょう。
<おわり>
※2022年9月30日時点の情報
ログインしてコメントを書く
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
16歳以上なら免許不要!?「性能等確認制度の適合認定」を取得したダブルオーの“特定小型原動機付自転車”「ウォンキー」の実力とは
F1 Topic:過熱する報道を牽制も、3カ月前と同様の対応を見せたホーナーの発言からレッドブルのシートを読み解く
メルセデスAMG『GT 63 PRO 4MATIC+』…「AMG GT」の最強グレード[15秒でわかる]
「このまま出てほしい!」ホンダ『CB1000F コンセプト』発表にファン大興奮、“メーター”については賛否両論?
「デカい! 高い!!」現存唯一「日本戦艦の砲塔」を実見 このたび現存が確認された部品も
トヨタ新型「クラウン」がスゴイ! かつてない斬新ボディ“ワゴン×SUV”に超進化! 約15年ぶり復活した「新型エステート」の“走行性能”はどうなの?
「大統領の時計・チャーチル」に多彩な新作が登場! 由緒ある角形ケースの洗練ウォッチは手頃な価格も魅力的です
F1角田裕毅、レッドブル・レーシングに移籍 4月の日本グランプリから
ランチア『イプシロン』がデビュー40周年…初代からの軌跡と新時代への挑戦
乃木坂46の元メンバー、樋⼝⽇奈が「V-STROM250SX」ライダーに!? スズキ制作のwebショートムービー「初風のきせき」配信開始
空飛ぶ車「ASKA A5」、3分の1サイズの模型を「高輪ゲートウェイシティ」に展示へ…3月27日から
【コラム】角田裕毅がレッドブル入り。彼の野望「チャンピオンになる」ためには、避けては通れない”一歩”
【ビッグニュース】F1ドライバー角田選手のレッドブル入り確定! 日本人初のトップチーム入りが実現。次戦日本GPから参戦
ホンダ「フリード」ガソリンモデル改良 価格改定で約10万円アップ、ハイブリッド車と同じ塗装を採用
今やMT車のメリットは「運転が楽しい」以外に存在しない…それでもMT車が無くならない明確な理由
5年目を迎えた「ハリアー」が改良で最大の“弱点”を解消か。次期型はRAV4と統合される可能性も
【危険】花粉症で重大事故になる場合も…車内に飛び散る花粉はどうすればいいのか? 運転への影響と対策とは
新型リーフ公開! 日産が新型車投入計画を発表。国内市場は新型軽自動車、そしてエルグランドの行方は?
【これ割とお買い得!?】スバルがクロストレック、インプレッサ、レヴォーグの特別仕様4モデルを一挙発売
【マイチェン情報】新型「ステップワゴン」登場は5月。デザイン変更、ブラックエディション&上級仕様エアーでライバルを追撃
【残りあと2台!?】まだまだやるぞミツオカ! 最終版「ファイナルヒミコ」はプレミア必至の10台限定発売
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!