コブラ入門モデル試乗 まさに4輪のハーレー!
掲載 更新 carview! 文:小沢 コージ /写真:小林 俊樹
掲載 更新 carview! 文:小沢 コージ /写真:小林 俊樹
さてインプレだが、乗るなり驚き。ほとんど“4輪のハーレーダヴィッドソン”。俺もジャガーEタイプやナロー911などのクラシックカーから、ユーノス・ロードスターベースのロータス・エランみたいな“なんちゃってクラシック”までいろいろ乗ったが、コイツはマジで本物の味がする。厳密には本物なんて乗ったことないのでいい加減なことは言えないが、いわゆる鉄の味というか振動の味が満載。要は鉄の馬であり、エンジン中心であり、普段プリウスやフィットに乗ってる人は、間違っても手を出すべきではないだろう。
まず乗り降りからして、それなり。サイドシルには太っとい水道管みたいなサイド出しマフラーがあって、冷えてる時ならまだしも、走った直後はなかなかホットなので、ガバッと跨がなければいけず、コクピット中央にドカンとエンジンが鎮座している。一度でも60年代のヒストリックに乗った人ならわかるはずだけど、特にコブラはどでかいV8をフロントに抱えたFRなので、エンジン中心。お尻は普通に座れるが、足は運転席なら左端、助手席なら右端になり、極端なことを言うとナナメにキャスター座りしてるようなポジションになる。滝川クリステルになったつもりで座るといいだろう。
あとはなにより振動と熱よね。これまたリアルに小ぶりなクラシックカー的なキーを捻ると、ブォォォン! と一発でかかり「昔みたいにクランキング何秒で、アクセル何回みたいなことはない」。だが、圧倒的な排気音とエンジン振動、暖まった時の熱気は物凄い。まさにアイロンを抱えて走る様だ。もっともその辺りの対策もしてあって、オープンカーとはいえAPモデルはエアコンが付いていて、トノカバーを閉めればそれなりに涼が取れる。試せなかったがさすがではある。
そして走りだ。標準車のクラッチは思ったより軽く、なんせ5.7リッターで448ps/57.8kg-mのエンジンなので、発進は神経質ではなかったけど、とにかく走り出したら…もう♪「ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド」とサウンドの塊。滝に打たれながら、機関銃でもぶっ放してるようだ。ステアリングフィールもまたリアルクラシックで、今みたいにパワステはなく、精密でもないから、結構遊びがある中を、探り探り切って行く感じで走りそのものが格闘。まさしくハーレーですな。
乗り心地は予想以上に硬く、角パイプフレームの剛性が高いからだそうで、「オリジナルよりもしっかりしてる」とか。実際、低いスピードでも荒れた路面ではポンポン跳ねる感じで、ある程度走ると角も取れてくるだろうが、とにかく不安感はない。ただし、スピードを上げていくと世界が変わるのもクラシックカーの常で、時速50kmも超えれば、ステアリングは急に軽くなり、エンジンもOHVとは思えないほど、ピークパワー発生の5300回転まですぐ上がってしまい、高速走行はそれなりに緊張感がある。間違いなく、オンナ子供には乗れない、男のクルマなのだ。
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