先行開発から10年、レース挑戦から5年で到達した「水素が当たり前の光景」。なぜTGRは“超電導”という未知の世界に挑むのか
掲載 carview! 文:ハシモトタカシ 16
掲載 carview! 文:ハシモトタカシ 16
2023年に燃料を気体から液体へと切り替え「液体水素カローラ」として戦ってきたトヨタ。当初より、タンクから燃料をエンジンへと送るための「燃料ポンプ」の耐久性がチームを悩ませてきた。
2023年の富士24時間レースでは、計画的にポンプを2回交換し24時間を走り切るしか術がなく、2024年の富士24時間レースでは改良型のポンプを投入するも、ポンプ以外のトラブルも重なり満足に周回を重ねることができなかった。
今年の富士24時間レース(5/30~6/1)では、ようやくポンプ無交換で完走。2024年に投入した楕円形の大型タンクの導入なども相まって「何とかレースを戦える状態」まで進化した。しかし、ポンプの耐久性を考慮し、出力は抑え気味。
そこで今回のS耐FINALでは、市販の「GRカローラ」と同じ最大出力224kW(304PS)での4時間の連続走行にトライし、無事走り切った。
伊東氏は「この先(ポンプが)どれくらいもつかというのは引き続きの課題」と述べ、TGRの高橋智也プレジデントも「将来の商品化を考えると、クルマの保証期間内でポンプがネックにならないようにしないといけない」と慎重だが、水素技術はまたひとつ山を超えたと言っていいだろう。
伊東氏は、水素技術の今後について次のように続ける。
「水素エンジン側の課題として、異常燃焼(ノッキングのような症状)はまだ100%解決しているわけではない。今回のレースでもその症状が出ている。異常燃焼が起きてもすぐエンジンが壊れるわけではないが、市販化を目指す限りは、そのリスクはしっかり下げていくことが大事だと思っている」(伊東氏)
ガソリンよりも燃えやすい水素だからこそ起きる異常燃焼。しかし、当初懐疑的な目で見られていた水素エンジン車によるレースも5年が経ち、いまでは当たり前の光景になったのは事実だ。
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