FF化したBMW「1シリーズ」試乗。実用上はFF化のメリットがデメリットを上回った
掲載 更新 carview! 文:塩見 智/写真:篠原 晃一 122
掲載 更新 carview! 文:塩見 智/写真:篠原 晃一 122
小田原から大観山まで箱根ターンパイクを駆け上がってみた。3気筒エンジンを高回転まで回してペースを上げる。近頃は速すぎて怖いクルマが少なくないが、118iは適度に活発に走らせるのにちょうどよいパワーだ。エンジンパワーに対し、シャシーのキャパシティに余裕があるから不安を感じない。
感心したのは四輪の接地性のよさとそれに伴うトラクション能力の高さ。登り坂をコーナリングしながら加速していくという、FFには最も辛い条件のはずの状況でも、118iはグイグイと駆け上がっていき、曲がっていく。
以前同じ状況で試乗した何かしらのハイパワーFF車でどんどん外に膨らんでいった記憶を引きずっているのかもしれないが、ちょっと不思議なくらい曲がるのに驚かされた。BMWはFFを作らせてもうまいなと感じ入った。
このクルマの勝負は、FRというオーセンティックで、トラディショナルで、なんだかんだ言ってスイートな言葉の響きを乗り越えられるかにかかっている。実用上はFF化のメリットがデメリットを大きく上回っている。あとはBMWといえば元は伝統的なFRのメーカーで、FRであってこそ真のBMWという保守的なイメージを払拭できるかどうか。
FRであることにこだわるべきは、より上級車種に限ってよいと新型1シリーズに乗ってあらためてそう思った。5シリーズ以上がFF化(万一したとしてもエンジン横置きの4WDだろうが)するといったら反対を表明するけれど、3シリーズがもしも将来そうなったとしても、結局出来はよいのではないか。
とはいえ5シリーズ以上のためにどうせFRをつくり続けるので、3シリーズもそれを使えばよいということになるだろうから、3シリーズ以上はこの先もFRなのだろう。ともあれ2シリーズ以下はパッケージングなどを重視してFFに、というBMWの舵取りはグッジョブだと思う。
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