ミニ クロスオーバーは走りの質感の高さが印象的。後席の乗り心地は要チェック
掲載 carview! 文:伊藤 梓/写真:篠原 晃一 79
掲載 carview! 文:伊藤 梓/写真:篠原 晃一 79
そして、ミニ クロスオーバーのハイライトはその走り。ミニが持つキビキビ感、クルマからダイレクトに伝わってくる感覚を「ゴーカートフィーリング」と表現されるが、ミニ クロスオーバーはそのゴーカートフィーリングに輪をかけて、一段階シフトアップしているように感じる。
まず、2.0L 4気筒ディーゼルエンジンが秀逸で、どんな回転数からでもパワーが溢れ出る。ミニ特有の3気筒エンジンのポップでちょっとぬけた感じのフィーリングも“らしさ”があっていいのだが、ミニ クロスオーバーはクルマが弾けるように走り出して行く感覚はそのままに、室内は静かで乗り心地はミニより落ち着いている。
そして、「ゴーカートフィーリング」もレベルアップしつつ健在だ。どんなコーナーでもズバッと曲がっていくダイレクトなドライブフィールが気持ちいい。ステアリングはやや重めだが、そのステアリングにぎっちりとセンサーが詰まっているかのように、回したところからクルマがしっかりと緻密に反応してくれる。
ゴーカートフィーリングましましの少々粗削りなミニと比較すると、ミニクロスオーバーはハンドリングの良いポイントだけ抽出しながら、全方位に質感が高められているので、可愛らしさだけではなく、じっくりとクルマを味わいたい人にもおすすめできる。
ひとつだけ気になるのが後席の乗り心地。前席ではあまり気にはならないのだが、後席に乗ってみるとおしりが持ち上がりそうなくらい段差などでよく跳ねる。ミニの革シートは、焼き立てのウインナーのようにパリッと張っているので、それも硬さを助長しているのかもしれない。基本的には2名乗車がメインで、たまに友人や家族を乗せるようなユーザーなら、問題なく使えるだろう。
クルマに限らず現代の風潮としても、単なる可愛らしさだけを良しとする文化は終わりを迎えているような気がしている。ミニ クロスオーバーは、見た目の魅力もさることながら、中にしっかり通っている芯のようなものがある。今の時代に対して凛と背筋を伸ばしつつ、かつフランクに接することのできる、新世代の「かわいい」クルマなのではないかと感じた。
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伊藤 梓(いとう あずさ):ライター
クルマ好きが高じて、グラフィックデザイナーという異業種から自動車雑誌の編集者へと転身。2018年からクルマの魅力をより広く伝えるために独立。自動車関連のライターのほか、イラストレーターとしても活動している。
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