アウディRS5、サーキットで見えた進化と真価
掲載 更新 carview! 文:島下 泰久/写真:中野 英幸
掲載 更新 carview! 文:島下 泰久/写真:中野 英幸
このRS5、車重は1810kgと決して軽くはない。それなのに走らせていて感じるのは、むしろ軽快さだ。これはもちろん、余裕たっぷりのパワーとトルクのおかげでもあるだろう。しかし何より効いているのは、やはりフットワークの良さに違いない。
サスペンションはハードではなく、むしろしなやかと評することができるほど。さすがにサーキットではドライブセレクトを「快適」にセットした状態では姿勢変化が大きくなり過ぎ、挙動も乱れやすいが、「動的」にセットして、ダンパー減衰力が締め上げられても、乗り味は決してガチガチにはならず、依然として適度なロールを許す。それでいて締めるところではピシッと締める味付けは絶妙。レスポンス鋭いフットワークを実現している。ダイナミックステアリングの恩恵もあって、舵角を当てた瞬間にノーズがスッとインに切れ込んでいく、その鋭い切れ味は快感だ。
もっとも、さすがに前輪に1トン以上の荷重が乗っているだけに、あまり突っ込み過ぎるとアンダーステアに陥ってしまう。大事なのは、スローインを徹底すること。そうすれば、その後もノーズが外に膨らむことはないし、更にそこからアクセルペダルを踏み込めば、旋回時にリア外輪により多くのトルクを配分するスポーツデフのおかげで、リアが積極的に回り込み、ほぼニュートラルステアを保ったままで立ち上がることができる。
とは言え、仮に突っ込み過ぎたとしても、ステアリングを更に切り足せば大抵は何とか曲がり切ってしまう。多少強引過ぎたなと思っても、スピンが起きるような気配などまるでない。そんな具合に平均台の幅を広くとって、誰もが安心して速さを引き出せる走りには、やはり感心するほかない。ブレーキもタフで、他のドライバーと交替しながら約1時間ぶっ続けで走らせたにも関わらず、まったく音を上げることはなかった。これならサーキットに持ち込んでも、安心して走りを堪能できるだろう。
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