ポルシェを思わせる!? BRZサーキット試乗

FRはアクセル操作でクルマを曲げられる

“前後重量バランスの良さ”こそがBRZの最大の魅力と言っても過言ではない。他のクルマでもボディがしっかりしていれば、ハンドルを切ると自然とリアタイヤも使って旋回が始まるが、いったん旋回を始めた後は前後のバランスが良さが大切だ。

BRZなら舵角を保持するだけで、ハンドルを一切動かさずに旋回状態をコントロールできる。アクセルを緩めれば、エンジンブレーキによるフロントへの荷重移動だけでクイクイと曲がり込むし、逆にアクセルを踏み込めば旋回力は弱まり軌跡が大きくなる。左右でバランスが整っている天秤のように、右を下げるのも左を下げるのも、わずかなな操作で自由自在となり、繊細な調整も容易だ。

実は、アクセルコントロールによる微妙な荷重移動で旋回バランスをコントロールすることこそ「FRはアクセル操作でクルマを自由自在に曲げられる」ということなのだ。

ちなみに、BRZのようにボディがしっかりして前後重量バランスが良く、アクセル操作に対する素直でレスポンスの良いエンジン出力特性のあるマシンなら、ドリフトをしている最中にアクセルを軽く踏み込んで微妙にリアに荷重を移し、リアタイヤのグリップ力を上げると、リアタイヤのグリップを回復させることができる。同じ状況で今度はアクセルを大きく踏み込めば、さらにリアタイヤを滑らせることもできる。

同じ環境で、同じ“アクセルを踏む”という動作でも、その操作量によって全く異なる結果を生み出すことができるわけだが、こうした特性もまた「アクセルコントロールでクルマを自在に曲げる」FRの要素ともいえる。若干誤解されそうだが、こんなアクセル操作による荷重コントロールを使ったマニアックな世界もあるわけだ。