BMW X4はスポーツカー並の走りと高級車並の快適性を両立してX3を引き離す
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:BMWジャパン
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:BMWジャパン
その走りは、粗探しでもしないと気になる要素が出てこないほど完成されていた。特に「M40d」は見事すぎる。午前中、一般道で試乗したM40dを、午後はそのままサーキットに持ち込み、豪快なスポーツ走行をしても涼しい顔をしている。日本にはディーゼル版のM40dこそ入らないが、ガソリン版の「M40i」の導入が噂されているので、SUVの最低地上高や積載力や運転視点の高さは欲しいが、走りは犠牲にしたくない、快適性も欲しいという人は注目しておくと良いだろう。
ノーマルモードからスポーツモードにすると、排気音も野太く迫力が増し、刺激的になる。同時に足回りに張り感がでてカーブでの姿勢変化が少なくなるとともに、連続するカーブで切り返してもぐらつき感も気にならなくなる。そして何より、アクセルをぐんぐん踏んでいけるようになる。
ブレーキ制御を積極的に使い、旋回の内輪より外輪を速く回すベクタリング効果を積極的に使っている印象だ。流石に兄貴分にあたるX6の生粋Mモデル「X6 M」のように、アクセルを踏み込んだ方がよく曲がるなんていう不思議な感覚はないが、通常なら旋回ラインが外に膨らむようなアクセルの踏み方でも、オンザレールで狙ったラインを走れてしまう。
旋回しながらの加速だけでなく、ブレーキを掛けながら旋回に入る高荷重を掛けた走りにもへこたれないし、不思議なほどよく曲がる。この手の複合操作は、SUVのような車高や重心が高いモデルが苦手としているはずだが、何をしても剛性不足感などないし、安心して走れる気持ちよさがある。場所をウェットの定常円旋回コースに移し、横滑り防止装置をオフにしてドリフトを試みる。着座位置は高いのに、動きはスポーツカーのように俊敏。前輪が車体をグイグイ引っ張りながら、リアが安定して横滑りするという体験は、その速度も高く、実に刺激的だった。
こうしたシーンで、スポーツカーに対するX4の弱点を敢えて挙げるなら、視点が高いため速度感がかなりあること。そして、ドリフトなど振り回す場合には、限界域が高いので腕と度胸が必要なことだろう。
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