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4WD&トルコン8速AT採用の新型M5はハンドリング性能と乗り心地で群を抜く

初採用の4WDとトルコン8速ATの走りは?

そして最新版、6代目のM5(開発コードF90)の登場である。 世代が変わるごとに驚くような変化を見せてきたM5だが、今度のモデルチェンジでもXシリーズのMモデル以外では初めての4WD(M xDrive)を採用したことで良くも悪くもファンを驚かせた。これはエンジンの出力アップが進み2WDではそのパワーを路面に伝えきれなくなったからだ。

4.4リッターV型8気筒ツインターボという肩書きは先代と同じではあるが、S63B44T0からS63B44T4(開発者が使うエンジンコードナンバーで通常はS63B44B)にバージョンアップされている。新開発のターボチャージャーの採用や350barに引き上げられた燃料噴射圧は、アクセルレスポンスや燃焼効率の改善につながっている。潤滑システムはフロント側に小型サンプが追加され、吸入空気を冷やす水冷インタークーラーは先代よりコンパクトながらパワーで上回る。エンジンオイルの循環システムは特性マップ制御式無段階可変容量ポンプを備え、前後左右の大きなGでも問題としないサーキット対応デザインになった。

またVバンクの谷の内側に2個のターボチャージャーを備えるが、シリンダーバンク上を横切るように配置された(クロスバンク)エキゾーストマニフォールドも変更されている。左右のバンクの1気筒ずつの排気を合流させ(1番+6番、2番+8番、3番+5番、4番+7番)ツインスクロールにしている。排気ガス流のエネルギーが2個のターボチャージャーのタービンに最適に伝えられるだけでなく、最善のガス交換が実現しているという。その結果、最高出力は441kW(600ps)/5600-6700rpm、最大トルクは750Nm/1800-5600rpmを発揮できるようになった。

トルクコンバータを使った8速Mステップトロニックトランスミッションを駆り、0-100km/hは3.4秒、0-200km/hはなんと11.1秒という俊足を誇る。標準仕様の最高速度は250km/hだがMドライバーズパッケージを装着すると305km/hになる。ホイールやタイヤもこのスピードに耐えられるようにデザインしてある。標準タイヤサイズはフロント275/40ZR19 105YXL、リヤ285/40ZR19 107YXLであるが、オプションで275/35ZR20 102YXL、285/35ZR20 104YXLの20インチも選べる。テストドライブ用のM5はすべて20インチのピレリP ZEROが装着されていたが、標準の19インチはヨコハマのアドバンスポーツがM5用の承認タイヤとしてBMWのスターマークを得ている。

トルクコンバータを使ったZFの8速ATというとMモデルらしさがないと想像するだろうが、実際に乗ってみるとかなりダイレクトな印象だ。走り始めるとトルコンはロックアップしてしまい、シフトアップ・ダウンでの繋がりも速いからスポーツドライビングでもまったく問題ない。市街地走行でのゴー&ストップやパーキングスピードでのコントロール性は普通のATと同じだからスムースに動かせるようになった。トランスミッションのオイルパンは放熱効果があるアルミ製になっている。トランスミッション専用のオイルクーラーも装備しているので、サーキット走行でもその機能は保証される。トランスミッションの後端からトランスファーによって左側に引っ張り出され、電子制御の湿式多板クラッチによって前輪を駆動する。この湿式多板クラッチはよりヘビーデューティな7シリーズ用を採用している。

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