マツダのロータリー復活 究極のエンジン開発中
掲載 更新 carview! 文:川端 由美/写真:中野 英幸
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去年、マツダはロータリー・エンジンの量産を休止するという苦渋の選択をした。正確には「RX-8」の生産を終了したのだが、マツダ・ファンに限らず、世の自動車好きはおしなべて、ロータリー・エンジンの灯が消えたかのような嘆きぶりだった。
「ところが」というべきか、「やはり」というべきか、マツダのロータリーの灯火は消えていなかったのだ! 今回、横浜にあるマツダのR&Dセンターで行われた技術説明会で、新設計の330ccロータリー・エンジンが披露された。もちろん、今の時代、ロータリーエンジンだけでクルマを走らせるわけではない。「RX-8」の生産終了の発表時に、山内 孝社長兼CEO(当時)が「次世代ロータリーの開発を継続する」と言っていた通り、レンジ・エクステンダー用エンジンとして、マツダの次世代をリードする形での復活である。自他ともに認める"テック・ヲタク"としては、単にロータリーが復活しただけでも嬉しいのに、従来の半分ほどの排気量で効率を高めた新設計のロータリーと聞いて心が躍った。
もっとも感心したのは、ロータリーの生きる道を発電機に見いだした点だ。ロータリーは燃費が悪いとの固定観念があるが、それは自動車のように加減速で負荷が変わる使い方をするからであって、産業用の分野では高効率の発電機として実績がある。レンジエクステンダーとして使うのであれば、エンジンは効率のよい回転数を保っておいて、発電機を回してやればいい。ここで発電した電気でモーターを回してクルマを走らせるなら、いくら頻繁に加減速をしても、エンジンにかかる負荷は大きく変動しないから、高効率で運転できる。さらに、効率を高めるためにエンジンとロータリーエンジンをベルトでつなぎ、エンジンの2倍の回転数で発電機を回せる。その結果、効率を約5%高めている。
実際に、エンジンのパーツを手に取ると、とにかく小ぶりで軽量なことに驚かされる。あくまでデミオEVをベースに、その巡航距離を延長するための発電機として搭載されるため、最高出力は22kW/4500rpmで十分との判断だ。もし、同じ出力をレシプロエンジンで確保しようとすれば、ざっと見積もっても、1.5倍程度のスペースが必要だろう。ロータリーエンジンに発電機とインバーターを組み合わせて、燃料タンクや触媒までまとめたレンジエクステンダー・ユニットの状態でも、両手で抱えられそうな大きさだ。ラゲッジルームの広さも犠牲になっていない。システムが小さいため、荷室の床下にすべてがおさめられているからだ。
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