iQ SC プロト試乗、走りのエンタメ性を追求！

iQ スーパーチャージャー（プロトタイプ）

“やわらかあたま”が生んだマイクロレーサー

さらに見逃せないのが外観。実はエンジンフードとルーフ周り、バックドア以外はすべて新作で、それも鉄板によるプレス。やたら手間がかかってて、ちょいと前後に樹脂製エアロパーツを付けただけじゃない。結果、スタイリングは路上のミニCカーってな感じで、ほどよく硬派に変わってるし、一体感もある。特にボックスっぽい前後バンパー同様、ショルダー部に角が付いたドアパネルはカッコいい。手を抜いた感じは微塵もない。ま、個人的にはもっと大人しい大人向けバージョンがあってもいいとは思いますけど。

一方、インテリアも専用バケットシートや専用カラーリングのステアリング、シフトノブが奢られ、メーター上の専用タコメーターによりノーマルとは別の雰囲気を醸し出しているし、このシートが座るとまたいい。しっかり身体をホールドしてくれるだけでなく、着座位置がかなり低い。これが非常に重要なのだ。

なぜならiQ最大の欠点は、重心の高さとリアの軽さ。全長の割に車高が高く、転倒防止を防ぐためもあって足は硬くなりがち。そのために一定以上は乗り心地を良くできない。そこでGRMNは専用サスと専用シートで重心を低くし、ハンドリングを良くした上で、乗り心地も改善しようとしている。

リアにも専用の補強材を入れて強くすると同時に重くしてバランスを取った。スポーツバージョンだから、いたずらにハードにするのではなく、素材の良さ、特性を知った上でそれを伸ばしてもっと楽しくするという方向なのだ。妙な固定観念にまるで縛られてない。

つくづく最近のトヨタは変わったと思う。以前の80点主義かつ儲け主義のメーカーだなんて誰も感じないであろう、特に一度でもこのGRMN iQ スーパーチャージャーに乗った後なら…。ちなみに売り出し価格は3百うん10万円台の予定。イジりの中身を考えたら安いもんだと個人的には思うのである。