異例の大改良でプレミアム領域に迫った新アテンザ。その背景も気になる
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:望月 浩彦
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まずは急速多段燃焼技術を採り入れた新しい2.2Lディーゼルを積むセダンで横浜の街へと繰り出した。アイドリング時のガラガラ音はそれなりに聞こえてくるものの、不快なほどではない。窓を閉めてしまえばほとんど気にならないレベルだ。もちろん、アイドリングストップが作動すれば騒音はゼロ。始動時の「ブルン」も低く抑えている。ボディの板厚アップや内装材の改良によって静粛性を引き上げたこともはっきりと体感できる。
ただし加速時のエンジン音はやや大きめだ。速度が上がってくればタイヤノイズや風音によってマスキングされてしまうが、低速域でアクセルを踏み込むとエンジン音が明確に聞こえてくる。このあたりはガソリンエンジンに軍配があがる。とはいえ低回転域から沸き上がるように出てくる分厚いトルクには捨てがたい魅力がある。たとえ450Nmという最大トルクを使い切らなくても、余裕のトルクはキックダウンの減少や思い通りの加速やアクセルを踏む量の減少につながり、結果として上質感のある走り味につながる。
上質感と言えば、足回りの進化も大きい。ボディ剛性の向上、サスペンションの改良に加え、ステアリング系にも手を加えることで、乗り心地、静粛性、直進安定性、コーナリング性能と、すべての領域で気持ちよさ、上質感を増している。なかでも見違えるほどよくなったのがロードノイズの抑え込みだ。従来はザラついた路面を走るとザーとかゴーという音が車内にこもりがちだったが、新型はそれがちょっとビックリするほど小さくなっている。凹凸を乗り越えたときに伝わってくる衝撃も一段とマイルドになった。路面によってはタイヤがちょっとブルつくケースもあるが、トータルとしては相当優秀な仕上がりで、ついにプレミアムカーの領域に片足を突っ込んできたと評価したい。
今回はワインディングロードを走る機会はなかったが、それでもハンドリング性能の向上をはっきりと体感できた。もっとも印象的だったのは操舵フィールの向上だ。従来はステアリングの中立付近にわずかなフリクションがあり、しかも切り込んでいったときのクルマの動きに曖昧さがあった。新型はそのあたりがきれいに整えられ、スムースな操舵フィールとリニアな効きになっている。それによる恩恵は都市高速のカーブを一発曲がれば「スッと気持ちよく、思い通りのラインに乗せられる」というメリットとして伝わってくる。従来モデルのオーナーが乗ったら軽く嫉妬を覚えるだろう。高速直進時のステアリングの座りもよくなった。
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