シトロエンC5海外試乗記 後編は吉田匠がレポート
掲載 更新 carview! 文:吉田 匠/写真:プジョー・シトロエン・ジャポン
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さて、そういったシトロエンの意図が見え隠れする新型C5、乗ってはどうなのか。前記のようにボディは「サルーン」と「ツアラー」の2種類だが、後者はまだ撮影用しかなく、試乗したのはすべてサルーンだった。搭載されるエンジンはガソリンが1.8リッターと2リッターの直4に3リッターのV6、それにターボディーゼルが直4とV6合わせて4種類という構成。日本で発売されるのは当面ガソリンのみだから、まずは3リッターV6にアイシンAW製6段ATを組み合わせた3.0i V6に乗ってテストドライブに出発した。もちろんサスペンションはハイドロニューマチックの電子制御版最新仕様たるハイドラクティブIIIプラスである。
すでに何度か書いたように、エクステリアにはドイツの影響が明確だが、インテリアのデザインは見事にフランス風、それも明確にシトロエンらしさを感じさせる。昔ほど柔らかくはないが、身体を包み込む感触のあるシートに収まって走り出すと、ドライビング感覚はまさしくハイドロニューマチック系シトロエンのそれで、路面の凹凸と隔絶された印象のフラットな乗り心地に包まれる。とはいえ、脚のセッティングがC6ほど柔らかくないのは、乗り味を前記のカンパニーカー風キャラクターに合わせたためだろう。試乗車は18インチのミシュラン・プライマシーHPを履いていたが、それでもタイヤからの突き上げがほとんど感じられなかったのは、ボディ剛性が充分に確保されているからだ。
ハイドロニューマチック系シトロエンというと、乗り心地がいい代わりにハンドリングはイマイチ、と思っていたらそれは大間違い。C5の先代のエグザンティアや、さらにその前身のBXの時代から、適度にロールはするもののアンダーステアの軽い、絶妙なコーナーワークを示すクルマだったが、その伝統はニューC5にも受け継がれている。ノーズの重いV6モデルでも、ドライバーの意図したラインを外すことなく、事実上オン・ザ・レールでコーナーの連続を走り抜けていくのである。しかも電子制御のハイドラクティブIIIプラスだから、ボディのロールも最小限に保たれている。さらにそれに加えて、ステアフィールがいいのも、近年のシトロエンの美点のひとつだといっていい。
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