シトロエンC5海外試乗記 後編は吉田匠がレポート
掲載 更新 carview! 文:吉田 匠/写真:プジョー・シトロエン・ジャポン
掲載 更新 carview! 文:吉田 匠/写真:プジョー・シトロエン・ジャポン
C5の3リッターV6は215psと290Nmを発生、6段ATを介して決して軽くない1725kgの車重を走らせる。そのパフォーマンスはDセグメントの上級モデルとしてまずまず妥当なところで、深く踏み込めばV6エンジンは高回転で耳に心地好いサウンドを奏でつつ、C5を充分な勢いで加速させる。発進停止を繰り返すような状況よりも、スピードが上がってからの追い越し加速の方が伸びのいい印象を与えるところも、シトロエンらしい。
帰路のルートでは2リッター直4搭載の2.0i 16Vに乗った。車重は1583kgに減量されるが、パワーは143ps、トルクは200Nmにすぎず、しかもATがフランス製の4段型に替わる。4段ATのシフトプログラムに関しては、ポルトガルで走る限り明確な不満は感じなかったが、絶対的なパフォーマンスはV6モデルより明らかに非力だ。これもシトロエンらしく、ある程度スピードが乗ってからの追い越し加速はまずまず不満はないが、低速から、もしくは上り坂などで踏み込んだ際には、パンチ不足を実感することになる。
それだけに直4モデル、身のこなしがV6より明らかに軽い。したがってワインディングロードでは、V6以上にアンダーステアの軽い軌跡を描きながら、軽快に走り抜けていける。だがその一方で、少々不満を感じたのが、高速道路におけるスタビリティだった。V6よりもノーズが軽い分、シトロエンらしい矢のような直進性を実感できず、横風などの状況によっては、スピードを上げるとステアリングに神経を遣う必要を感じた。それやこれやで僕としては、C5ならV6モデルをオススメしたい気分ではある。
ところで、ドイツのDセグメントサルーンを意識したと思われるニューC5、日本の市場ではどのような反応を得るだろうか? 日本のマーケットは特殊だから、ドイツ車の牙城に迫るのは難しいだろうが、これまで以上に日本の路上に根づく要素を持ったミドルクラス・シトロエンになったのは間違いない。秋といわれる日本上陸が愉しみなクルマだ。
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