新型ビートル、“ザ”が付いた理由とは?
掲載 更新 carview! 文:小沢 コージ /写真:篠原 晃一
掲載 更新 carview! 文:小沢 コージ /写真:篠原 晃一
ってなわけでザ・ビートルの最大のキモは、キョーレツなイイトコ取り作戦だ。モダンなニュービートルのキュートさを保ちつつ、最新型として十分な実用性と、古典的なVWらしさを取り戻す。前に出来なかった「感動と実用」の融合を測ってるのだ。
実際、それはほぼ達成されている。デザインだがパッと見、フロントからみると“ニュー”と変わらない。独特の丸っこいフェンダーにボンネット。プラモデル風というか、映画トランスフォーマーに出てきそうで、知らない人からみると「どこが変わった?」とすら思うだろう。特に今の広告のフロント写真はリアの造形を隠している。
しかし、横やナナメ後ろからみると良く分かる。14年前のニュービートルに比べ、14cm長く、8cm幅広く、5mm下がってるだけじゃない。ルーフラインが明らかに違う。試乗会でも何回も見かけたが、後ろから見ると時折「アレ?」と思う。全体の丸みといい、フェンダーの独立ぶりといい確かにビートル。しかし一瞬、PTクルーザー的な匂いが漂うのだ。ライン的には初代のクラシック・ビートルにも似ているが華奢さはない。ここをどう捉えるかが評価の分かれ目だ。
同じくフロントバンパーのメタリックなバーといい、サイドのバーといい、ディテールもクルマらしくなった。勝手に想像すると前のニュービートルは、ヘタすると「アメリカだけで売れればいいや…」と考えたんではあるまいか。例えばブルースウィルスが出ている国産車CMは、彼が「日本だけで流れるからいいや…」と割り切ってる感じがするが、ダイハードはもちろんそうではない。同様に、“ザ”はハッキリと60年前の初代ビートルを知る人に向けて作られているのだ。
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