GR86とロードスター990Sでワインディングへ。カーブの数だけ言葉を交わすことができる
掲載 carview! 文:山田 弘樹/写真:市 健治 137
掲載 carview! 文:山田 弘樹/写真:市 健治 137
登場から実に33年の歳月が流れたロードスター。その楽しさは、今さら特筆する必要のないほど誰もが知るところであるけれど、新手の「990S」が登場したことで、確かにその魅力を今一度再確認するのは面白いことだと思う。
まず990Sという新グレードだが、大事なことを話しておくと、これは走りのグレードではない。名前は勇ましく、その足下にはRAYS製の鍛造アルミホイールやブレンボのキャリパーといったレーシーなパーツが付いているからより一層ややこしいのだが、その目的はロードスターが一番大切にしている“軽さ”を得るためなのだ。
ちなみにマツダの開発陣から聞いた話だと「990S」というネーミングは、あるロードスターオーナーからの“いただきもの”なのだという。そのオーナーは最もベーシックな「S」グレードに自作のカッティングシートで、「990S」というペットネームを付けていた。それは正しく「S」グレードの車重を意味しており、オーナーはここにロードスターのアイデンティティを感じていたわけだ。
そしてこれに感銘を受けたマツダは、そのネーミングをもらい受け「990S」の名前で新グレードをラインナップした。リアスタビライザーもトルセンLSDも、フロアトンネルをつなぐ補強ブレースもないATベースのシャシーからさらに遮音材を取り除き、前述したホイールとブレーキ・キャリパーでさらにバネ下重量の軽減を図ったわけだ。
こうした軽量化を施したにもかかわらず、カタログ表記が「S」グレードの車重と変わらないのは主要諸元の表記上5kg以下の重量差は切り捨てになってしまうから。たとえば車重が994.9kgでも、990.0kgでも「990kg」という表記になってしまうのだという。
そんな僅かな差にすらこだわって軽量化を推進したマツダは、相当な軽量化オタクであり走りオタク。つまりクルマ好きである。それと同時にブレンボの対向4ピストンキャリパー+大径ローターが、純正の片押しキャリパー+ノーマルローターよりも軽いことには筆者も驚かされた。
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