スバルが好きだから言わせてもらう。JMS2025で見た「パフォーマンス-B」に漂う“過去の匂い”とその先に見える袋小路

フォレスター ウィルダネス

「昭和的スポーツカー」への回帰に複雑なため息

だがそういった枝葉の部分ではなく根本的なところで、パフォーマンス-B STI コンセプトが顔を向けている方角が「まるで昭和の車好きが乗っていたようなスポーツカー」だったことに、筆者は落胆しているのだ。今、2025年に、令和の7年に、今さらコレを出品するの？ という話である。

もちろん「まるで昭和の車好きが乗っていたスポーツカー」みたいなモノを好む層は永遠に存在し続けるはずであり、筆者も決して嫌いではない。またスバルおよびSTIがブランドとしてのエッジを際立たせるための一要素としては、ああいった方向性のモデルを存在させ続けることは有効であり、必須でもあるのだろう。

だが「ああいった方向性」を求める人間の数は、今や非常に少ない。もちろんそこにパイはあるが、そのパイの寸法はきわめて小さいのだ。

そんな袋小路に向かって突進していったところで商売は成り立たないし、パフォーマンス-B STI コンセプトについて良いだの悪いだのと騒いでいるカーマニアの声も、ビジネス全体の前ではノイズに過ぎない――というのは言い過ぎかもしれないが、「池の中の小さな波紋」程度のものだ。

スバルはもっと別の方向、それなりのボリュームが見込める領域において「スバルしか打ち出せない、何らかの新規軸」を打ち出してほしいと、スバル車愛好家である筆者は願うのだ。