超高級車市場に参戦するBMW M850iは本格スポーツより肩の力を抜いた走りで実力を出す
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:望月 浩彦
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:望月 浩彦
走りの質感も高い。クルマの大きさが気にならない使用環境で、ハードなスポーティドライブをしない人にとって、M850iの乗り味はラグジュアリースポーツカーとして満点のレベルにある。
まず、しっとり感が高い。路面を掴んでいる節度感があるのに、不思議なほど突き上げや路面のザラつき感が抑えられ、全ての入力の角が取れている。衝撃マットの上を走るような感覚だ。
加えて、クルマは揺れているのにそれを感じさせないことにも驚かされる。前後は大きく上下するが、中心は上下せず、目線の移動も少ない。シーソーの中心に座っているような不思議な感覚だ。前後重量配分はもちろんだが着座位置が最適なため、その揺れさえも気にならないのだろう。2人乗りとして作り込めるパッケージならではの乗り味と言えそうだ。
その乗り味が低速から高速まで、苦手な速度域がないかのように続く。見逃せないのは電子制御サスペンションと、カーブで傾きを抑制する電子制御スタビライザーの協調制御による効果だ。曲がり出すと脚を固めて車体の動きを抑える制御が自然で、不思議なほど路面への貼り付き感が出ている。
ちなみに電子制御スタビライザーが旋回中のボディの傾きを抑制している時も、荒れた路面などからの入力の吸収性が落ちずにシットリ感が続くのも、この協調制御の成せる技なのだろう。前後方向のフラット感だけでなく、左右方向へのフラット感まで実現している、なかなかお目にかかれない乗り心地だ。
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