レクサスLSの評価は、走りと快適性のどちらを取るかで決まるだろう
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:菊池 貴之
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そんなこともあって、まだナンバーが取れず、サイクルスポーツセンター内のみの試乗となった「LS500」の印象が、走り好きとしてはとても良かった。デザインやシャシー全体のスポーティな仕上げに対して、最大出力422ps、最大トルク600Nmを発揮する新開発3.5Lガソリン直噴ターボの素性が合っている。重厚感を重視したLS500hに対して、軽快感や意のまま感を重視した印象で、特に曲がり出してからの路面への張り付き感が抜群、ボディの大きさを忘れさせるほど気持ちよく、的確に軽快に走れる。
Fスポーツになるとそれはさらに強化され、ハンドルの初期操舵に過敏な傾向はあるものの、スポーティな走りが好きな人にはオススメだ。ちなみにFスポーツではないLS500の4WDモデルでは、前輪が効果的にクルマを引っ張る動きが加わることで、旋回時の過敏さが消えたうえに安定感が底上げされる、最も好みの乗り味に仕上がっていた。
しかしそんな「LS500」もまた、「LS500h」同様に例の走行振動を抱えている。考えられる原因は大きく2つ。1つ目は不思議なほど硬いランフラットタイヤ。2つ目はLCから引き継いだとは言え、セダンとして初めて手がけるプラットフォームを最初から完璧に使いこなすのは難しいのだろうという事。新規プラットフォームの熟成は時間が掛かる。クルマが完成して走らせてから気がつくことも少なくなく、改善や変更が間に合わない要素も多数あるはずで、プラットフォームの癖を把握し、使いこなすまで一世代はかかるというのが業界のセオリーだ。
ドライバーズカーとしての魅力の追及は、今後のレクサスらしさの本質となる部分だろう。しかしハンドリング特性を磨く一方で、思いのほか乗り心地や快適性を悪化させてしまったというのが、今のLSの状況ではないかと読み取れる。もちろん、乗り心地も快適性も、レクサスが世界に誇る技術を持つ分野。ランニングチェンジで良くなるのは容易に想像できるが、現実問題として最後にいまLSは買いだろうか?
この質問には、新型に乗っている優越感を味わいたい人、ドライバーズカーとしてのハイサルーンカーを求める人、個性的なデザインや芸術品のような匠の技によるインテリアに魅了されたのなら買いだ。
逆に、後席中心に使う人、走行振動や突き上げや、ノイズが集中する60km/h以下の中低速ドライブが多いという人、さらに荒れた路面環境が多い人は、LSの熟成をもう少しだけ待っても良いかもしれない。
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