レクサスLSの評価は、走りと快適性のどちらを取るかで決まるだろう
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:菊池 貴之
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:菊池 貴之
LSには「GA-L」というひと足早く登場したフラッグシップクーペ「LC」と同じ新プラットフォームが使われている。そのワイド&ローな基本骨格のおかげで、LSもボンネットが先代より30mm、トランク部が40mm、全高が15mm低くなった。フロントタイヤから後ろのフェンダー部が広いロングノーズフォルムを手にして、ノーマルグレードでもスポーティな印象を抱かせる仕上がりになっている。
エレガントさも持ち合わせてはいるが、新型は“あまり主張したくない”“目立ちたくない”“さりげなく高級車に乗りたい”という層よりも、ゴージャスであることを好む層に向けて仕上げてきた印象だ。
この見た目の印象こそ、新型LS、いやレクサスの回答なのだろう。それは走り出すと即座に確信に変わった。LSが手にしようとしたのは、エレガントというよりスポーティな世界、もっとハッキリ言えば運転したくなる世界だと。
座った瞬間は、寄木細工を思わせる精巧なウッドパネルや、織物として仕立てられた内装、さらには切子ガラス加工が施された加飾など、世の中のどの高級車にもない“日本らしい”という表現を使いたくなる空間が出迎えてくれて好印象だ。こうした日本の匠が作り出した内装、室内の雰囲気を味わいたくて、LSに乗るという人もいるだろう。
走りも同様だ。感覚としては新型で最も穏やかなキャラクターとされるハイブリッドの「LS500h」のノーマルモデルのほうが、先代の「Fスポーツ」以上にスポーティなのだ。各操作に対するクルマの反応がハイサルーンカーとは思えないほど身体感覚にフィットする。クルマがひと回り小さく感じられるので、運転がとてもしやすい。その反面、今までLSが世界に誇ってきた静かで上質な乗り心地という特徴は、とても弱くなっているのだが…。
…回りくどく言っても仕方ない。今回のLSは運転手付きで乗るショーファーカーではなく、運転して楽しいドライバーズカーとして仕立てられた印象を受けた。
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