新型Cクラス海外試乗。清水和夫が語る
掲載 更新 carview! 文:清水 和夫/写真:メルセデス・ベンツ日本
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Cクラスの技術史で注目しなければならないのは、ボディ技術とシャシー性能を司るサスペンションである。90年代にメルセデスの安全技術部門を指揮していたインゴ・カリーナ副社長は、ボディ骨格の新しい考え方を90年代後半の新型車から採用している。
それまでのボディは硬すぎたと反省し、変形してエネルギーを吸収するクラッシャブルゾーンと、変形しない頑丈な乗員空間(キャビン)をうまくバランスさせる構造を開発したのだ。2代目のCクラス(W203)はこのコンセプトで開発された。衝突を受ける前部(エンジンルーム)のサイドメンバーからキャビンのサイドメンバーに繋がる部分に、荷重がむらなく分散できる構造を採用し、伝統的な三叉式緩衝構造(フォーク式)をさらにレベルアップさせたのである。
さらに、エンジンルームと室内を隔てるバルクヘッドを湾曲形状にして、キャビンの変形を抑えつつ、エンジンなどがキャビンに侵入するのを抑制する構造も採用。こうした構造は今回の新型Cクラス(W205)にも受け継がれている。こうして安全ボディはメルセデスの普遍的な技術思想となっているのだ。
また現在、メルセデス・ベンツに限らず後輪駆動のリヤ・サスペンションはマルチリンクが主流だが、この方式が採用されたのも190からであった。以来、後輪駆動のメルセデスにはこの形式が使われている。
一方、フロントサスペンションの変遷はやや複雑で、190ではコンベンショナルなストラット、初代Cクラス(W202)はダブルウィッシュボーンとなり、二代目Cクラス(W203)では再びストラットに戻された。そして新型Cクラスではついにマルチリンクが採用され、オプションのエア・サスペンションと相まってSクラス並みの乗り心地を実現したのである。もちろん、エア・サスペンションはこのクラスでは初めての試みだ。
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